2014年の期待作『フリーダムウォーズ』クリエイターロングインタビュー!【第3回】

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアから2014年に発売される、プレイステーション Vita用ソフト『フリーダムウォーズ』。本作のロングインタビューを全3回に分けてお届けする。今回は、その第3回!

●独特のシステムを持つ本作のアクションを直撃

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアから2014年に発売される、『フリーダムウォーズ』。荊(イバラ)を使った立体的なアクションや、最大8人でのマルチプレイなど、独自の魅力に溢れたマルチプレイアクションだ。既報の通り、本作は、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオ(以下、SCE WWS)のプロデュースのもと、原作を『GOD EATER(ゴッドイーター)』で知られるシフト、開発を『ストリートファイターIV』などを担当したディンプスが担当。今回、その3社から主要スタッフにお集まりいただき、本作の開発のきっかけや、ゲームコンセプトなど、『フリーダムウォーズ』に込めた熱い想いをうかがった。ファミ通.comでは、2万字に近い文章量になったインタビューの全文を、3日に分けて掲載。今回は、その第3回として、もっとも気になる、本作のアクション部分について語っていただいた。(本インタビューは、週刊ファミ通2013年12月5日号に掲載されたものに、加筆修正を行ったものになります)

※『フリーダムウォーズ』ロングインタビュー第1回はこちら
※『フリーダムウォーズ』ロングインタビュー第2回はこちら


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■プロフィール
●写真中央
シフト ゲームデザイナー
保井俊之氏(文中は保井)

●写真左
ディンプス ディレクター
塚本高史氏(文中は塚本)

●写真右
ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオ
プロデューサー
吉澤純一氏(文中は吉澤)


●遠距離攻撃、近接攻撃、そして荊を使った新感覚のマルチプレイアクション

——続いて、気になるアクション部分についてもおうかがいしたいのですが。本作は、8人でのマルチプレイがひとつの特徴ですよね。
吉澤 そうですね。現在は4人でのマルチプレイがトレンドですが、それをあえて8人に増やしたのがチャレンジですね。本作では、プレイヤーキャラクターそれぞれに相棒となる生体アンドロイドの“アクセサリ”がいるので、4人でプレイするとアクセサリを入れて8体、8人で遊ぶときは16体のキャラクターが動いているんです。
——PS Vitaで16体も同時に!?
塚本 そう思いますよね(苦笑)。最初に吉澤さん、保井さんの構想を聞いたときは、僕も「PS Vitaでそんなことできるの?」と思いました。うちのスタッフも、「それは無理ですよ!」と言うし、いっそ「すべてのプレイヤーキャラクターが同じ見た目でいいですか?」と言いたくなりました(苦笑)。でも、吉澤さん、保井さんがこの作品でやりたいこと、この世界観で描きたいことを聞いていたので、みんな同じようなヘルメットや服、武器を用意するだけではダメだろうと。


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——マルチプレイで遊ぶ場合、みんな個性を出したいですよね。
塚本 そうなんです。それに、都市国家対戦をするなら、東京に所属している人は東京のチームとしてで色を合わせたいとか、トレードマークをつけたいとか、いろいろできたほうがいいと思うんですよね。そういったことをスタッフと話してしてたら、「本当に実現できるのだろうか……」と、ヘンな空気になってしまって(笑)。でも、悩んでいるばかりでは前に進まないので、プレイヤーキャラクターは4人対4人の対戦で最大8人、アクセサリ付きで合計16体のキャラクターが動くマルチプレイというものを軸に、アバターの作りかたや、快適なネットワークの環境作りといった、開発を進めていきました。結果的に、ユーザーさんの好みに合わせていろいろな見た目、衣装で戦えるようになりましたが、これも現場の人間ががんばって問題をクリアーできたからだと思います。
吉澤 多人数マルチプレイならではの難しさもありますね。たとえば、自分のプレイした結果が、ちゃんとシステムに反映できるように同期を取らなければいけなかったり。
塚本 弊社には、1対1の対戦格闘ゲームにおいて、整合性を追及するチームがいます。何と言うか、「そこは妥協したらアカン」という、そのチームならではのクリエイター魂があるんですが、それをやってきたディンプスだからこそ、本作の話が来たのではないかと思いまして。その信頼を崩してはいけないので、対戦格闘ゲームでつちかってきたものを、マルチプレイでもしっかり活かしていこうという思いを持っています。また、本作には遠距離攻撃がありますし、荊を使って一気に距離を詰めて、近接攻撃に持ち込むこともできます。遠距離攻撃、近接攻撃、そして荊の3つの要素がうまく重なりあって体験できる新感覚のアクションが、システム最大の特徴、魅力ではないだろうかと考えながら作りました。ただ、3つの要素をバランスよく実現するのは難しかったですね。
吉澤 技術的な難しさを乗り越えたもので言いますと、プレイヤーキャラクターだけでなく、アクセサリもカスタマイズできるようにした点ですね。「プレイヤーキャラクターだけでなく、アクセサリもカスタマイズできるようにしてほしい」というオーダーを出させていただいて。
塚本 そうなんです。プレイヤーのカスタマイズは当然のこととして、かなり初期段階から「アクセサリも武器や衣装、顔などをカスタマイズしたい」と言われて。「最大16体のキャラクターを動かして、プレイヤーキャラクターの見た目ですら難しいのに、アクセサリも……?」と、本当にスタッフみんなで頭を抱えました(苦笑)。

——それはたいへんそうな……(苦笑)。アクセサリのカスタマイズは、かなりの自由度があるのでしょうか?
保井 プレイヤーのランクが上がるにつれて、カスタマイズできる権利がどんどん解放される仕組みになる予定です。また、アクセサリは見た目だけじゃなく、自分で入力したセリフを、合成音声で自由にしゃべられることもできるんですよ。
塚本 “Ruby Talk”(肉声なみの音声メッセージを生成する高品位音声合成ミドルウェアのこと)という技術を使い、アクセサリのボイスをカスタマイズできるんですが、たとえば自分のことを“マスター”や“ご主人様”と呼ばせたりとか、戦闘中に命令を与えたときに「わかりました」じゃなくて、「イヤです」とツンデレ風にしたりと、それぞれのセリフを自由に設定できるわけですね。武器などもカスタマイズできるので、それらを持ち寄って協力プレイや対戦ができるのも特徴なんです。

——それは、すごいですね!
保井 私がボカロ好きということもあるんですが、自分のキャラクターでボイスを選んだりできるならば、アクセサリもそれに合わせてカスタマイズできたほうが、ユーザーさんが喜んでくれるだろうと思いまして。塚本さんに、実現してもらいました。


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▲アクセサリの男性版。

▲アクセサリの女性版。

——そこまでのカスタマイズ性があって、最大8人でのマルチプレイ。考えるだけで、開発がたいへんそうな気が……。
塚本 その話を聞いたとき、スタッフが「できるんですか?」という顔だったんですが、「そうなるよな。でもな、やらなあかんねん」と(苦笑)。たいへんではありますが、保井さんの原作で描きたいことを聞けば聞くほど、どこもやっていないようなもので、実現できたらおもしろいだろうなと思うんです。だから、チーム一丸となって作っているところですね。
吉澤 塚本さんと保井さんでゲーム作りに差があるように、当然ながら会社にも明確な違いがあって、それが結果としていい相乗効果を生み出していると思います。誤解を恐れずに言いますが、シフトさんが求めるものは、ひとつのものをずっと磨いていくよりも、体験を量産していくタイプで、“コンテンツそのものの満足度を高めることは大事だけど、小さい要素をたくさん積み上げたほうが、いろいろできて楽しいんじゃないか”という内容のお話をよくお聞きします。一方、ディンプスさんはその真逆と言いますか、多彩さを求めずに、ひとつのことを突き詰めて、磨き上げていくというスタイルなので、保井さんが言う「こういうこともできたらいいよね」という発想は、ディンプスさんの中ではあまりしない考えかたではないかなと。だからこそ本作は、ユーザーさんが実際にプレイされたときに、質と量のバランスがうまく取れている、新しい形のゲームになっているんじゃないかと、手応えを感じています。
塚本 磨き上げていくスタイルというのは間違っていないですね。でも、多彩さを求めないわけではありません。今回は、保井さんの考えになるべく寄っていこうという想いが強いですね。

——塚本さんと保井さんは、タッグを組まれたことで、これまでにない手応えを感じているところはありますか?
塚本 そうですね。アクションのお話をすると、都市国家対戦をどうすればおもしろくなるのか、僕らの受けたイメージから「緩やかな対戦をしたい」と保井さんに提案しました。アクションが得意な人は、アクションでいちばんを目指して国家に貢献するといい。でも、アクションが苦手だと、バトルで活躍できないですよね。そこで、フィールドに落ちているアイテムをたくさん拾って国家に納品しても、貢献できるようにしています。これが緩やかな対戦ですね。こうすることで、アクションが苦手な人でも、都市国家に貢献する喜びを感じることができる。いろいろな形で参加できるというのが、本作のひとつの形なんじゃないかなと思っています。
保井 塚本さんがおっしゃった通りで、たとえばキャラクターエディットでもいろいろなアプローチが出ると思います。戦闘力を重視して選ぶ人もいれば、見た目重視で選ぶ人もいるでしょう。それをネットワークを経由して広めるというのが、今後のマルチプレイアクションの形としては重要になると思います。さらに自分のスタンスで、好きなときに関われるというゲームシステムもいまの時代にはいいんじゃないかと。いろいろなアイデアが、いちばんキレイな形で、うまくデザインに落とし込んでいただけたので、共有して作り上げたという実感は強いですね。
吉澤 最近ヒットするコンテンツは、ユーザーのプレイスタイルやプレイするタイミングによって、1分、10分、1時間といった、いろいろな遊びかたができると思います。本作でも、それを実現できるんじゃないかと思っていて、僕らも手応えを感じながら開発を進めています。

——非常に楽しみです。ほかにも、荊などの特殊アクションが気になります。
吉澤 これは、公式サイトで公開しているプレイ動画をチェックしていただければ、荊の爽快感と多彩なアクションがわかりますので、それを見ていただきたいです。
塚本 近接攻撃、遠距離攻撃、荊、そして市民の奪還と、本作のアクションの魅力がいろいろ詰まっています。とくに、動く市民の奪還は、動く旗を捕まえる、いわば “キャプチャー・ザ・フラッグ”のようなおもしろさがありますね。
保井 あと、まだ言えませんが、ほかにも大きな要素がいくつもありますので、続報を楽しみにしていただきたいですね。発売までに全部言い切れるかわからないくらい、ボリュームたっぷりの要素がありますので。

——動画の見どころはそこでしょうか?
吉澤 動画で発表しないといけないと思っていたのは、本作はマルチプレイアクションではありますが、ほかのゲームにはない新しい遊びが体験できるということです。プレイヤーが操作するものであれば、“荊”という近接攻撃、遠距離攻撃に加わる第3のアクション。それとゲームの目的として、巨大な敵をみんなで協力して倒すだけでなく、そこから大事なものを救い出す、“奪還”という体験ですね。このふたつがあるので、ほかのゲームにはない、本作ならではの遊びのおもしろさを感じていただけるのではないかと思っています。


フリーダムウォーズ 開発中プレイ動画

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——期待しております! まだまだいろいろとお聞きしたいのですが、そろそろインタビューの時間が終わりに近づいておりまして……。
吉澤 では、保井さんから、最後にテーマのお話をしていただけますか。
保井 そうですね。『GOD EATER(ゴッドイーター)』のシナリオは、“人の絆”をテーマにしていましたが、本作のシナリオは“抑圧と自由”をテーマにしています。これは現代性をテーマにしたゲームとしてアプローチをしていまして、100万年の懲役の果てに、どのような自由を得るのかという大きな謎がひとつあるのですが、そこをぜひ楽しみしていただきたいと思います。我々としては本作をプレイして、遊んでいただいた方に世界をもっとよくしたいと思っていただけるような、力強いメッセージを伝えられるゲームにしたいと思ってます。

——ありがとうございます。それでは最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。
保井 今後の試遊の機会などで、近接攻撃、遠距離攻撃、荊を使ったアクション、そして市民(シヴィリアン)の奪還をぜひ体験していただきたいですね。そこで得た皆様の意見をもとに、さらなる開発を進めていきたいと思います。だれもがおもしろいと感じるゲームにしたいので、プレイして感じた感想は、ぜひそのままお聞かせください!
塚本 ザクザク斬って、バンバン撃って、市民を助ける。そういう、これまでにないマルチ プレイアクションを目指しています。今後も試遊できる機会がありますので、触った感想をそのままお聞かせください。
吉澤 『フリーダムウォーズ』というタイトルは、日本語に置き換えると“自由戦争”になります。本作は短時間、長時間、協力に対戦と、プレイスタイルの自由度の高さもテーマで、どんな人にも、いろいろな形でゲームに参加して楽しんでもらえるように制作しています。より多くの人が楽しめるように、たくさんの窓口を用意することが僕らのミッションだと思っているので、今後の試遊の機会で、僕らが目指しているものを体感してほしいですね。


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(C) Sony Computer Entertainment Inc. ※画面は開発中のものです。

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