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 東京電力福島第一原発のがれき撤去作業で飛散した放射性の粉じんが2011年12月以降に計7回、約60キロ先の宮城県丸森町まで飛んだ可能性が高いことが東大などの調査で分かった。調査チームは「昨年8月の大規模ながれき撤去以外でも広範囲に飛散したことが分かった。費用をかけてでも防止に万全の策をとるべきだ」と指摘している。

 東大大気海洋研究所の中島映至(てるゆき)教授らが住民の被曝(ひばく)対策を研究するため、第一原発から北北西59キロの宮城県丸森町役場に大気中の粉じんを集める装置を設け、11年12月から昨年12月にかけて4、5日に一度回収してきた大気中の放射性セシウム濃度を調べた。このうち①濃度が普段の10倍超②風向や風速から計算すると第一原発から届く――時期が8回あった。

 一番濃度が高いのは昨年8月16~20日で、前後の時期の50~100倍。8月19日に行った大規模ながれき撤去で粉じんが飛散し、20キロ以上離れた水田や48キロ先の住宅地まで飛んだ可能性を農林水産省や京大が指摘した時期と重なる。他の7回は12年9月7~11日、14~18日、11月16~20日、昨年5月28~31日、6月28日~7月2日、2~5日、8月6~9日。いずれも普段の10倍程度だった。調査チームは今年5月に農水省に研究結果を報告していた。