最近、ライトノベルが成功する(打ち切りにならない)要素は何かを調べています。
データを整理している中で一つ面白いトレンドがありました。
新作ライトノベルが売れて長期シリーズ化するかどうかは作家やイラストレーターや宣伝や発売前のファンの数(なろう、ボカロ、ノベライズに顕著)など色々な要素が影響しますが、1巻が発売された月も影響をかなり与えていそうです。
ライトノベルレーベル最大手の電撃文庫をサンプルにして示します。
以下のグラフは、電撃文庫の2010年~2013年の4年間の新作215作品の1巻発売月ごとのシリーズ刊行巻数の割合です。

濃いオレンジ色が1巻で完結・打ち切りになっている作品の割合、薄い黄色が2巻で完結・打ち切りになっている作品の割合、青色が3巻以上で完結・刊行中の作品の割合です。
2月に発売されている新作は67%が3巻以上続いているのに対し、11月は17%の作品しか3巻以上続いていません。
面白い点は、 新作の発売点数/月とシリーズが続くかどうかは関係がなさそうな点。
大量に新作を発売した月は、一作品あたりの宣伝量が減るので編集部が金をかけて推した作品以外は全部悲惨な結果になるのではと考えていたのですが、別にそうでもない。
2010年~2013年の電撃文庫 各月ごと新作刊行点数(4年間累計)と新作平均冊数(2014年7月末時点)

青い棒グラフが新作刊行点数、赤い線が新作が平均して何巻まで続いているかを示した数値です。
では、どうして月ごとに新作の1巻・2巻での終了率がこれほど違うのか。
仮説を2つ考えてみました。
1.アニメ化作品に読者を取られて新作が終わる。
月ごとのシリーズ刊行点数の割合を見てみると、1月、4月、7月と3ヶ月周期で1巻・2巻での終了率が上昇しています。
1月、4月、7月に共通する点はアニメの放送開始時期であること。
ライトノベルレーベルは放送開始にあわせてアニメ化作品の新刊を発売します。
電撃は毎月10日が発売日なので、1月、4月、7月はアニメ化作品の新刊を発売し、書店を見ればわかりますが、棚の良い場所はアニメ化作品が占拠します。
新作はこの割りを食って、打ち切りになってしまうのでは仮説。
しかし、10月も同じくアニメ化作品の新作が発売されるのに3ヶ月周期で終了率が上昇していません。
9月から11月はどの月も新作が打ち切られまくっています。
2.新人賞受賞作は長く続きやすいが、それ以外の新作は早めに打ち切られやすい。
電撃大賞受賞作は、基本的に毎年2月に発売されています。
2010年~2013年の受賞作は22作品。その内、3巻以上発売された新作は16作品。
新人賞受賞作の73%が3巻以上続いています。
2月発売の新作ラノベが長期シリーズ化しやすいのは新人賞受賞作が多いから、だと思います。
しかし、どうして6月、8月の新作も長期シリーズ化しやすいのか、秋(9月~11月)の新作は打ち切られやすいのか、 がよく分かりません。
後ろの月になればなるほどシリーズ平均冊数が少なくなる理由は、単に集計期間の問題(2013年末に発売された新作は調査時点でまだ3巻までしか発売されていない)だと思いますが、2013年12月発売の新作が2014年7月末時点でも2巻が発売されていないのは集計期間の問題ではないと思います。
電撃文庫新作ライトノベルのデータをGoogle Docsに載せましたので、何かうまい仮説を知ってる方はご教授下さい。
元データはラノベの杜さんのDBから頂きました。ありがとうございます。
ラノベ読者に役立つ情報をまとめます。
・電撃文庫で打ち切りにならない新作を読みたいなら、2月・6月・8月の新作を買うと吉
・電撃文庫の秋の新作はだいたい打ち切りになると覚悟して買うと吉
MF文庫、富士見ファンタジア文庫等も電撃同様に調べていますので、調査がまとまったらまた記事にします。
単純に年度の前半はラノベ自体が売れやすいので新作も成功しやすく、年度の後半は売れにくいので新作も打ち切られやすいのかもしれないので、オリコンの売上データと比べてみようとは思っています。
ただ、今まで「6月はラノベがよく売れる」みたいな話を聞いたことがないのですが、あり得るのかな?
データを整理している中で一つ面白いトレンドがありました。
新作ライトノベルが売れて長期シリーズ化するかどうかは作家やイラストレーターや宣伝や発売前のファンの数(なろう、ボカロ、ノベライズに顕著)など色々な要素が影響しますが、1巻が発売された月も影響をかなり与えていそうです。
ライトノベルレーベル最大手の電撃文庫をサンプルにして示します。
以下のグラフは、電撃文庫の2010年~2013年の4年間の新作215作品の1巻発売月ごとのシリーズ刊行巻数の割合です。
濃いオレンジ色が1巻で完結・打ち切りになっている作品の割合、薄い黄色が2巻で完結・打ち切りになっている作品の割合、青色が3巻以上で完結・刊行中の作品の割合です。
2月に発売されている新作は67%が3巻以上続いているのに対し、11月は17%の作品しか3巻以上続いていません。
面白い点は、 新作の発売点数/月とシリーズが続くかどうかは関係がなさそうな点。
大量に新作を発売した月は、一作品あたりの宣伝量が減るので編集部が金をかけて推した作品以外は全部悲惨な結果になるのではと考えていたのですが、別にそうでもない。
2010年~2013年の電撃文庫 各月ごと新作刊行点数(4年間累計)と新作平均冊数(2014年7月末時点)
青い棒グラフが新作刊行点数、赤い線が新作が平均して何巻まで続いているかを示した数値です。
では、どうして月ごとに新作の1巻・2巻での終了率がこれほど違うのか。
仮説を2つ考えてみました。
1.アニメ化作品に読者を取られて新作が終わる。
月ごとのシリーズ刊行点数の割合を見てみると、1月、4月、7月と3ヶ月周期で1巻・2巻での終了率が上昇しています。
1月、4月、7月に共通する点はアニメの放送開始時期であること。
ライトノベルレーベルは放送開始にあわせてアニメ化作品の新刊を発売します。
電撃は毎月10日が発売日なので、1月、4月、7月はアニメ化作品の新刊を発売し、書店を見ればわかりますが、棚の良い場所はアニメ化作品が占拠します。
新作はこの割りを食って、打ち切りになってしまうのでは仮説。
しかし、10月も同じくアニメ化作品の新作が発売されるのに3ヶ月周期で終了率が上昇していません。
9月から11月はどの月も新作が打ち切られまくっています。
2.新人賞受賞作は長く続きやすいが、それ以外の新作は早めに打ち切られやすい。
電撃大賞受賞作は、基本的に毎年2月に発売されています。
2010年~2013年の受賞作は22作品。その内、3巻以上発売された新作は16作品。
新人賞受賞作の73%が3巻以上続いています。
2月発売の新作ラノベが長期シリーズ化しやすいのは新人賞受賞作が多いから、だと思います。
しかし、どうして6月、8月の新作も長期シリーズ化しやすいのか、秋(9月~11月)の新作は打ち切られやすいのか、 がよく分かりません。
後ろの月になればなるほどシリーズ平均冊数が少なくなる理由は、単に集計期間の問題(2013年末に発売された新作は調査時点でまだ3巻までしか発売されていない)だと思いますが、2013年12月発売の新作が2014年7月末時点でも2巻が発売されていないのは集計期間の問題ではないと思います。
電撃文庫新作ライトノベルのデータをGoogle Docsに載せましたので、何かうまい仮説を知ってる方はご教授下さい。
元データはラノベの杜さんのDBから頂きました。ありがとうございます。
ラノベ読者に役立つ情報をまとめます。
・電撃文庫で打ち切りにならない新作を読みたいなら、2月・6月・8月の新作を買うと吉
・電撃文庫の秋の新作はだいたい打ち切りになると覚悟して買うと吉
MF文庫、富士見ファンタジア文庫等も電撃同様に調べていますので、調査がまとまったらまた記事にします。
単純に年度の前半はラノベ自体が売れやすいので新作も成功しやすく、年度の後半は売れにくいので新作も打ち切られやすいのかもしれないので、オリコンの売上データと比べてみようとは思っています。
ただ、今まで「6月はラノベがよく売れる」みたいな話を聞いたことがないのですが、あり得るのかな?
ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで
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