【コラム】中・日の人名表記、表記法に問題あり

 本紙は、自他共に認める大韓民国で最古かつ最大の新聞だ。「朝鮮日報」という漢字のタイトルを堂々と掲げているだけあって、ハングルと漢字を併用する新聞でもある。漢字の使用には、意味を明確に伝えると同時に、漢字を知らない世代に漢字を教えるという、一石二鳥の効果がある。

 しかし、一つ問題がある。中国と日本の人名・地名を現地の発音で書く外来語表記法を採用しているため、一般的には使用頻度の低い難しい漢字の名前が、ハングルの発音表記なしに、現地の発音のまま載るという点だ。例えば、中国の国家主席の名前をハングルで「シー・ジンピン」と書き、さらに漢字で「習近平」と書き加えている。「習近平」の後にハングルで「スプ・グンピョン(習近平の韓国語読み)」と併記すれば、誤解の余地もなく、漢字教育の効果もあるのだが…。現在のスタイルにこだわっていれば、韓国語で「習」を「シー」、「近」を「ジン」、「平」を「ピン」と読むのだと思ってしまう若者が出てくる恐れがある。韓国の新聞を中国人や日本人が読むわけもないのに、なぜこのような意味のない、誤った原則にこだわっているのか、理解できない。

 「シー・ジンピン」はまだいい。習近平国家主席の夫人、彭麗媛(ポン・リーユアン)氏はどうだろうか。韓国語で「ペン・リョウォン」と読める人がどれくらいいるだろうか。正しく読めなければ、インターネットで検索することもできないのだから、ハングルの併記はなおのこと重要だ。

 7月1日付の本紙1面冒頭記事に、中国語の発音「シー・ジンピン(習近平)」と、韓国語の「トンイル(統一)」「プッケク(北核)」が相次いで出てきた。難しい「スプ・グンピョン」にはハングルで振り仮名を付けず、一方で「トンイル」のような簡単な単語には漢字を併記していた。若い読者は、韓国語で「スプ」「グン」「ピョン」と読むべき漢字を「シー」「ジン」「ピン」と誤って読む危険性がある。さらに、人名としてひとまとまりになって出てくる場合はまだいいが、別々に1字ずつ出てきた場合は、誤って読む可能性が極めて大きくなる。この点では、2面の「日本の景気回復」という記事がより深刻だ。渋谷(韓国語読みはサプコク)、牛丼(同ウジョン)、吉野屋(同キルヤガ)、港(同ハン)、辻慎吾(同シプ・シンオ)、若田部昌澄(同ヤクチョンブ・チャンジン)など、韓国人になじみのある単語は一つもない。ハングルだけを読んで済ませる人が多くなれば、漢字を併記する理由はなくなる。

 結論を述べると、中国語・日本語を現地の発音通りに書かなければならないのなら、漢字の併記をやめるか、漢字を書かなければならないのなら、ハングルで振り仮名を付けて読者の理解を助け、漢字教育の効果も挙げればいいと思う。

趙南俊(チョ・ナムジュン)元『月刊朝鮮』理事
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