- ホーム » ブログ » report » 芳賀則人の言いたい放題! 相続プラザ総研 » 情報の非対称性とは...今までは情報格差で仕事が出来た 芳賀則人の言いたい放題
情報の非対称性とは...今までは情報格差で仕事が出来た 芳賀則人の言いたい放題
プロ・専門家と言われる人々は「私、知っている人、貴方知らない人」だから私の言うことを聞いていれば間違いありません。…という商売を続けて来ました。いや、来られました。特に弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の士業は、資格で飯を食っていることもあり、そのような考え方やタイプが多いように見受けます。(どちらかというと上目線で)
それは、圧倒的な情報量と知識の差を利用した格差により「仕事」を作って来たのです。かく言う私も専門家の端くれとして数年前までは、そんなノリでやって来たのだと思います。(困ったことに自分では意外と気付かないのです)ところが、これをガツンと打ちのめすような、とある本の記述に出会うのです。「情報の非対称性」という言葉です。ウィキペディアから、これを引用すると下記のようなことです。
【商品の取引における情報の非対称】
市場では売り手と買い手が対峙しているが、一般には売り手が保有する情報と買い手が保有する情報の間には大きな格差がある。例えばある商品を取引する状況を想定したとき、売り手は商品の品質に関する豊富な情報を所持している。
他方、買い手は商品の品質に関する情報をほとんど所持しておらず、売り手からの説明に依存するしかない。買い手は、商品の品質に関する情報について、商品を購入するまで完全には知り得ない。そのため、売り手の説明に、買い手が納得できないという状況もしばしば発生し得る。
このように、取引・交換の参加者間で保有情報が対等ではなく、あるグループが情報優位者に、他方が情報劣位者になっている状況(情報分布にばらつきが生じている状況)が、情報の非対称性である。
情報の非対称性が存在する場合、取引の当事者のいずれか一方だけの不確実性が高くなる。情報の非対称性は、情報優位者にとって有利な結果をもたらし、市場の取引が円滑に進まなくなってしまう場合がある。
情報の非対称性によって生じるこのような不平等な結果は、取引を始める前に予想できる。そのため情報格差が察知される場合には、情報劣位者は取引を拒否できる。不平等な結果をもたらす取引には、手を出さない行動が最適な戦略だからである。結果として情報の非対称性が大きい場合には、市場の取引そのものが破綻し、市場の失敗を引き起こしてしまう。
◎情報の非対称性への対策として、以下の方法が挙げられる。
・シグナリング:情報優位者が商品の品質に関する情報(シグナル)を情報劣位者に間接、直接に提示し、情報の格差を縮小する。
・スクリーニング:情報劣位者が、情報優位者にいくつかの案を示し、その選択を通して情報開示させる。
・エディケーション:E(Education:消費者教育)が、企業と消費者との情報の非対称性を縮小するために必要と説いている。
アメリカでは、この分野の研究が進んでおり、これもアメリカの後塵を拝すことになるのは忸怩たる思いがありますが、仕方ないでしょう。
このように、我々士業は、アイデア、考え方、法律的な仕組みとかを提供しており物品は売らないとはいえサービス業であることに違いはありません。いやむしろ目に見える物がない分、分かりにくい点は天下一品です。
そこで、これからの士業のあり方がある程度、見えて来ます。弁護士であれば法律を、税理士であれば分かりにくい税制を、司法書士であれば登記、土地家屋調査士や不動産鑑定士はその存在感そのものを、日頃より丁寧に解説・説明する必要があります。又、知名度の高い税理士や弁護士といえども、どういうことが出来るのかを普段からアピールしなければお客様は来ません。
これを実践している士業も多くなりました。それはインターネットです。HPの普及がそれを果たす役割は大きいと言えるでしょう。特に新規顧客を取り込むには、これが最も優位です。動く会社案内パンフレットが一瞬の内に見てもらえるのですから。しかし多くの参入者(ライバル)が現れて来ます。これはもっと多くなることは確かで先鞭を付けた優位者もあっという間に、その優位性はなくなります。ではどうするか、原点に戻るしか方法はありません。
その原点とは「生」の自分を知ってもらうことだと私は思っています。既存顧客を大事にするとは…既に自分を知ってもらってる人にもっと深く信頼関係を築くにはどうすればよいかを考える。新規の方と知り合うにはどうするか。
生の自分を知ってもらうにはセミナーや研修会の講師を務めて、自分を出せる場を多く作ることだと思います。そして人柄を知ってもらう。この人柄を磨き信頼してもらうことこそ、今回のテーマである情報格差を埋める最も有効な手段・方法だと確信しています。