在日大使館:ツイッター使い日本語で舌戦 垣間見える各国の情報戦略
2014年07月29日
ウクライナ危機にマレーシア航空機撃墜事件、ガザでの戦闘……。世界情勢が大きく揺れ動く中、ツイッターを使って、当事国の在日大使館が日本語で自国の主張を繰り広げる一方、政治や外交の話題から距離を置く大使館もある。ツイッターから垣間見える各国の情報戦略とは? 【馬場直子/ デジタル報道センター】
◇ロシアとウクライナ、旅客機撃墜で舌鋒鋭く
在日大使館の中でも、舌鋒(ぜっぽう)鋭くツイートし合っているのは、ウクライナ危機やマレーシア航空機撃墜事件で主張が対立するロシアとウクライナだ。
在日ロシア大使館は2013年12月16日、アカウントを開設し、「友人の皆様へ、今日からツイッターを始めさせて頂きます。こちらの情報はご参考にして頂ければ幸いです」とつぶやいた。当初はロシアの郷土料理ボルシチのレシピや、国際スポーツ大会での自国の選手の活躍を紹介していた。
今年2月中旬、ウクライナで親露派の大統領への反政府デモが発生すると、ツイッターの内容は一変した。日本語に訳したロシア外務省の声明をツイートしたり、現地のデモを伝える報道機関のツイッターに「警官への火炎瓶の投げつけ、殺人などは抗議デモとは言えるんですか」と質問したりしていた。
ウクライナ情勢を受け、米国のオバマ大統領がロシアへの経済制裁の検討を始めると、「アメリカ的図式に収まらない事態が起きると、きまって『制裁の棍棒(こんぼう)』を振りかざそうとする人々が現れます」とツイート。マレーシア航空機撃墜事件でも、ウクライナ軍のミサイル発射演習が関与している可能性があると書いた。
自国の主張をツイッターで展開しているのは、在日ウクライナ大使館も変わらない。マレーシア航空機撃墜事件について「ロシアから来た、またはロシアの支援を受けている他の国のテロリストたちは、国際社会に加えた被害の代償を払うべきだ」とツイート。欧州連合(EU)各国の首脳がロシアへの制裁を議論していることも書き込んだ。
外交問題が持ち上がると、両国ともツイッターで舌戦を繰り広げるが、自国をPRする「やわらかツイート」も忘れていない。ロシアは「今日はとりあえず難(し)い話をほうっておいて」と書き、日本国内で開かれるロシア文化のイベントを連続ツイートした時もあった。
在日ロシア大使館に、ツイートを担当する「中の人」への取材を依頼したが、「まだ始めたばかりなので」と断られた。代わりに回答した報道担当者によると、中の人は3人。発言内容は職員個人ではなく、ロシアの外務省の方針に沿っているという。