長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件で、殺人容疑で逮捕された女子生徒(16)は今春、中学校のクラスメートにオーストラリアへの留学を考えていることを明かしていた。女子生徒は同時に「いろいろある」と事情があるようにも話し、希望を持って留学するような様子ではなかったという。【井上和也、野呂賢治、梅田啓祐】
関係者によると、女子生徒が通っていた中学のクラスは3月の卒業式後、全員が1人ずつ教室であいさつをし、女子生徒はその時に留学について話したという。
女子生徒は照れるような仕草をしながら「オーストラリアの方に留学を考えてます」と語った。続けて「まあいろいろあるんですけど」と話して教室にいた父親の方を見ながら「それは思うところがあって」とも語った。
近所の住民によると、女子生徒は幼い頃から活発で、学習成績も優秀。家族の勧めもあってスポーツにも積極的だった。
だが、県教委によると、昨年10月に実母をがんで亡くし、以降不登校の状態になったという。また、近所の住民によると卒業式があった今春、父親は再婚し、家庭環境が大きく変化した。住民によると女子生徒は「お父さんをバットで殴ろうとしたことがある」と話したこともあるという。
女子生徒は自分のことを「僕」と言い表していた。
教室でのあいさつでは、涙ぐみながらクラスメートに出会えて良かったと感謝の言葉を伝えた後「一つだけお願いがあって、こんな僕ですけど同窓会に呼んでください。で、大人になってからも僕のことを思い出して、僕は何やってるか分かんないですけど、砂漠歩いてシマウマに乗っているかもしれないけど、その辺のことを思ってくれたらな、と思います」と話した。
最後に父親の方を向いて涙声で「こんな僕ですけど、育ててくれて大変ありがとうございました。これからもよろしくお願いします」と語って締めくくった。
卒業後の4月、女子生徒は佐世保市内で1人暮らしを始めたが、進学した高校には1学期中に3日しか登校しなかった。