「携帯キャリアビジネスの新潮流」

「音声定額、データ従量」は長年の思い

1月の新料金発表が業界の方向性を決めた――ソフトバンク(前編)

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2014年7月31日(木)

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 ホワイトプラン開始当初から模索してきた「音声定額」が、2014年には実際のものになるという思いを我々は強く持っていました。実際には1月の発表は、インパクトが薄かったのかなと思う部分もありますし、ドコモの「完全定額」というインパクトは強かったと思います。とはいえ、新定額サービスの発表で、音声定額への思いを強く持っていたソフトバンクモバイルの役割は果たすことができたと考えています。

一部のユーザーがデータ通信を多用するのは不公平

データ通信は、これまでの定額制から変革をする必要があると考えていたわけですね。

須賀:パケット通信は、少し前まで定額で無制限のサービスが一般的でした。今は4Gサービスでは7GBという区切りを設けましたが、一部のユーザーがデータ通信を非常に多く利用するという事実もあり、不公平性が指摘されてきました。

 米国や韓国の例を見ると、世界では音声は定額、データは段階制になっていくという方向性が見えてきました。社内で検討した結果、世界の流れと不公平性の解消という両面から、データ通信の従量制に舵を切ることにしました。

 音声とデータは、分けて話をすることはできません。VoLTEは2014年には各社が導入する流れでした。VoLTEが広がれば、音声はネットワークのリソースを今よりも使わずにサービスを提供できるようになります。一方でデータ通信は今後も一層の広がりが予想されます。そうなったとき、音声は定額で自由に使えるサービスを提供し、データ通信で収益を上げていくのかなと。将来を見据えて、そう判断しました。

 1月の発表では、時間と回数の制限はありましたが音声通話の実質的なかけ放題と、データ通信の容量をセットにした3種類のパックを用意しました。データ通信は2GB、7GB、15GBという段階制で、利用に応じた料金を頂戴するものです。制限を超過したときには自動的に追加料金が発生して高速データ通信を維持する料金体系を採用したのも、公平な支払いを求める視点からでした。

1月の発表以降の反響、反応はいかがでしたか。

須賀:ウィルコムの「だれとでも定額」で、回数や時間に制限があっても「音声定額」の魅力は認知されていると考えていました。しかし、実際にはドコモのような制限なしの音声定額とは捉えられ方が違ったのかもしれません。ツイッターへの投稿やアナリストの評価などを見ると、「無料通話の回数や時間がもう少し多いといい」といった意見も多くありました。

 多くのユーザーはソフトバンク網内の無料通話に慣れていて、すでに音声通話に対する感覚が定額にシフトしていた側面もあるでしょう。また、ウィルコムの「だれとでも定額」のような音声だけのオプションではなく、音声とパケットがセットになったプランへの戸惑いもあったかもしれません。

 ユーザーの声を聞いて、修正できるところはすぐに修正するという弊社のポリシーで、4月に改定したプランを発表しました。音声の1回の制限時間をSパックでは3分から5分へ、Mパック、Lパックでは5分から10分へと伸ばし、より「かけ放題」に近づけました。ソフトバンク網内の無料通話も、改定で復活させました。


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