「携帯キャリアビジネスの新潮流」

「音声定額、データ従量」は長年の思い

1月の新料金発表が業界の方向性を決めた――ソフトバンク(前編)

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2014年7月31日(木)

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 他社からは、ソフトバンクモバイルの「新定額サービス」に追随するアナウンスはなかった。そして、年度が変わった2014年4月1日、ソフトバンクモバイルは新定額サービスの改定を発表した。「発表後にお客さまからいただいたさまざまなご意見を踏まえ」た改定だ。

 改定のポイントは3つある。1つは、定額の対象になる通話の時間制限を「Sパック」では3分以内から5分以内へ(50回は不変)、「Mパック」「Lパック」では5分以内から10分以内へ(1000回は不変)と延長したこと。2つ目は定額を超過したときの通話料金を30秒ごとに30円から20円へと値下げしたこと。3つ目はソフトバンク携帯電話あての1時から21時の無料通話を復活させたこと。名称を「スマ放題」と定め、Mパック、Lパックの利用料を6カ月間割り引くキャンペーンもアナウンスした。これで、準備は整ったはずだった。

 ところが4月10日、NTTドコモが国内の音声通話の完全定額とデータ通信の家族間シェアという大きなインパクトのある新料金プランを発表した。ソフトバンクは4月18日、「スマ放題」の提供開始時期を変更するとアナウンスした。再検討が必要になったのだ。

 そして6月7日の土曜日、新料金サービス「スマ放題」の再度の発表が行われた。国内音声通話の完全定額、家族のデータシェアといったNTTドコモの新料金プランの柱を受け継いだ。一方、使い切れなかったデータ量を翌月に繰り越せる「データくりこし」、家族でデータ量をシェアしない場合に割引がある「家族おトク割」といったアレンジを加えて、利用者の選択肢を広げている。新「スマ放題」は7月1日にサービス提供を開始した。

◇   ◇   ◇

当初から「音声定額、データ従量」を打ち出したつもりだった

最終的に「スマ放題」では国内の音声通話が完全定額という形で提供されました。ソフトバンクモバイルでは、音声の定額制という流れは、どの時点から意識していたのですか。

須賀:世の中ではNTTドコモの新料金プランが大きく取り上げられていますが、ソフトバンクモバイルは音声定額の方向性をずっと打ち出してきていました。音声定額への道筋は、2007年に「ホワイトプラン」を提供した頃から模索していたものです。その当時から、音声の収入はいつかは落ちてきて、データ通信の収入と逆転するだろうという危機感が根底にあったからです。

 ホワイトプランは、ピークアワーの21時から翌1時は避けるものの、ソフトバンクの自社網内の音声通話を無料にする斬新なプランでした。部分的ではありますが、2007年から音声定額に先鞭を付けていたのです。

1月24日の「新定額サービス」は、どんな思いで作ったのでしょうか。

須賀:1月に発表した新定額サービスでは、「音声は定額」「データは使っている人から相応のお金をいただく」というメッセージを打ち出したつもりでした。

 Mパック、Lパックでは5分の通話が1000回もできますから、事実上は音声定額になるという考え方です。グループ会社のウィルコム(当時、現ワイモバイル)のPHSサービスでは、「だれとでも定額」というオプションサービスで10分以内の国内通話を月500回まで無料にし、市場に受け入れられているという自負もありました。

 1月の発表で、「VoLTE時代の革新的な新定額サービス」という打ち出し方をしたのも、いずれLTEのデータ通信の上で音声通話サービスを提供する「VoLTE」の時代が来ると、音声通話のコストは下がって音声が定額の世界がやってくるということをアピールしたかったのです。まだソフトバンクモバイルではVoLTEの提供についてコメントしていませんが、時代はVoLTEに向かって流れていて、その世界では音声は定額だと考えていたのです。


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