ガザ戦闘:ほぼ全域停電 学校再び砲撃で子供ら19人死亡

毎日新聞 2014年07月30日 22時15分(最終更新 07月30日 23時56分)

ガザ発電所の位置
ガザ発電所の位置

 【エルサレム大治朋子】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを拠点とするイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で、ガザ中部にある発電所が29日に爆撃を受けガザのほぼ全域で停電が続いている。30日未明には、避難所に使われている国連運営の学校も砲撃を受け、少なくとも19人が死亡した。激しい攻撃でライフラインまで損傷し、市民はさらに厳しい生活を強いられている。

 発電所は29日に攻撃を受けた。ハマスによる誤爆の可能性も排除できないが、双方とも関与を認めていない。

 「燃料タンクが破壊された。日本に支援を呼びかけてほしい」。毎日新聞の現地助手が30日朝、発電所管理事務所を訪ねると、技術者のアデル・サイクさん(42)が訴えた。

 ガザ北部の病院に勤めるサミ・サイード医師(37)は「停電でポンプなどが止まり上下水道が使えなくなった。不衛生になり病気になる人が増えるだろう」と指摘した。

 ガザ市中心部にある病院の救急医(44)は「集中治療室には24時間の通電が必要だが、使用不可能になりつつある」と語った。

 ガザでは汚水が排水できず各地で異臭が漂っている。上水も止まり、飲料水を買いだめする人が増えている。発電機を持つ市民は燃料のガソリンを購入しようと給油所を回っているが、売り切れの所も多い。ガザ市当局者は「現状ではあと4日ぐらいしか発電できないだろう」と話した。

 ガザ市内のパン屋には自宅でパンを焼けなくなった500人以上の市民が殺到。ヌール・アルスシさん(13)は4時間並んでようやく購入できたが「夕飯のために、また並ばないと」とため息をついた。

 一方、国連によると、イスラエル軍は30日未明、北部ジャバリアにある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)運営の学校を砲撃し、子供ら少なくとも19人が死亡した。同校には約3000人が身を寄せている。イスラエルは関与を明らかにしていないが、ハマスが兵器を隠しているとして学校や病院も攻撃対象にしている。

 ガザ側の死者は1300人以上で、2008年から09年にかけてのイスラエルとの戦闘に伴う犠牲を上回り、過去最悪規模に達した。

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