中国:新疆で庁舎襲撃 無差別切りつけ死傷者100人か
毎日新聞 2014年07月30日 20時41分(最終更新 07月30日 22時59分)
【上海・隅俊之】中国・新疆ウイグル自治区カシュガル地区ヤルカンド県で28日朝、刃物を持った武装集団が地元政府庁舎や派出所を襲撃した事件で、AFP通信は亡命ウイグル人組織のスポークスマンの話として、死傷者が100人近くに上ったと伝えた。50人以上との情報もある。襲撃は大規模で、警察当局は「組織的で綿密に計画された重大なテロ」と断定した。
襲撃したのはウイグル族とみられる。現地ではイスラム教を信仰するウイグル族が多数を占めており、ラマダン(断食月)明けの祝祭を翌日に控えていた。
米政府系の自由アジア放送(RFA)によると、ラマダン期間中に当局者が各家庭を回り、女性が禁止されているスカーフを着用していないかチェックしていたことに反発が強まっていたという。
また、7月8日にはスカーフの検査をめぐり、警察官が7歳の少年を含む家族5人を射殺する事件も起きていた。
カシュガル地区では大規模な交易会が開かれており、警戒態勢が強まっていた。中国メディアによると、28日早朝に現地で警察官が爆発物を持った武装集団を発見。
容疑者らは逃走後に再び政府庁舎などを襲撃した後、別の村などでも市民に無差別に切りつけ、車両を壊した。RFAはネット上の投稿情報として「300人余りが結集した」と伝えた。
事件を受けて現地では厳戒態勢が取られている。ネットは遮断され、電話も通じにくい。現地のウイグル族の女性は電話取材に「武装警察ばかりで、取り締まりを恐れて街には誰も出ていない。道路も検問があり行き来できない。恐怖の世界だ」と訴えた。
同自治区では漢族が中心の共産党支配へのウイグル族の反発から爆発事件や襲撃事件が相次いでいる。ヤルカンド県では昨年12月に刃物を持った9人が警察署を襲撃する事件が発生。4月と5月には区都ウルムチで爆発事件が起きた。習近平指導部は徹底した「対テロ作戦」を進めているが、今回の事件を受けてさらに締め付けを強めるものとみられる。