2013年に建設が始まった問題のニューヨークの高層アパートは33階建てで、上層階からはハドソン川が一望に出来る高級コンドミニアムになっています。

しかし市の条例で、大規模開発に際し低所得者層向け住宅を併設すれば、税金の一部控除を受けられるというルールが導入されたので、この高層アパートの20%は低所得者層が入居しています。家賃は、通常の6分の1だそうです。

不動産開発業者が税制上の特典を得るためには、ゾーニング法に準拠した建物の設計をする必要があります。明快に「低所得者層へも破格の条件で住宅を供給しています」ということを示さないといけないきまりになっています。

そこで低所得者層向けユニットを含んでいる階へアクセスするためには別の入り口を設けました。

これに対して市議会で大論争が巻き起こりました。なぜなら、低所得者層の多くは人種的なマイノリティーであり、彼らを別の入り口に誘導するのは、差別にあたるという意見が出たからです。このようなスキーム自体が、憲法違反ではないか? という議論に発展しています。

ビルに入居している当の低所得者層の人たちは、別に「貧乏人用ドア」を、気にも留めてないようです。

「そうしなければ、夢のような安い値段で、こんなセレブなアパートに住めるわけないもんね」


ごもっとも。