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インタビュー:日本株の買い増し事実ない=私学共済・資産運用担当者

2014年 07月 30日 18:00 JST
 
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[東京 30日 ロイター] - 日本私立学校振興・共済事業団は30日、7月までに日本株を買い増していた事実はないと明らかにした。ただ、14年度の基本ポートフォリオの見直しにおいては、財政再計算(財政検証)に沿って株式比率を引き上げる可能性があるほか、来年10月に予定されているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)との一元化も考慮するとの考えを示した。

同事業団・資産運用室の酒井薫室長と田代雅之参事がロイターとのインタビューで述べた。

今年5月以降、日経平均は1万4000円台前半から6月末に1万5400円程度と約1割上昇した。株価を押し上げた背景は公的・準公的とみられる買い観測だ。投資主体別売買動向では、国内年金などから資産管理を受託している信託銀行が5、6月合計で、日本株を9618億円買い増した。

ただ田代氏は「(今年4月から足元までで)日本株を買い増した事実はない」と述べる。私学共済の基本ポートフォリオの国内株式の資産配分比率は10%、かい離幅はプラスマイナス3%となっており、上限13%まで買い増しは可能だが、「基本的には中心ラインである10%を維持することが運用の規律を保つことになる。根拠なく買い増すことはおかしい」という。

13年度の実績では、昨年12月にかけての株価上昇を受け、株式運用比率が12.9%と上限に接近。そのため、今年1月にはアセットマネージャーの見直しも含めて、合計で数百億円に上るアクティブファンド2つを解約した。

一方、前年度は国内債券の償還金額が通常より多かったが、国内債券に再投資し、他の資産には振り分けていないという。13年度末の主な資産の構成割合(時価ベース)は国内債券48.3%、国内株式10.0%、外国債券11.9%、外国株式11.1%となっている。

14年度の基本ポートフォリオの見直しについては、5年に1度の財政再計算が行われるため、基本的には長期の経済前提を基に算出する期待収益率に見合うように資産構成を決定する。田代氏は「厚生年金の財政検証と同じ経済前提を用いるため、負債サイドをみながら立てるアセットミックスにおいて、一般的に利回りが高い株式などリスク性資産の比率を引き上げる可能性がある」と指摘する。

また来年10月にはGPIFとの一元化が予定され、資産の約半分が共通財源としてGPIFの資産構成比率に沿ったポートフォリオになる。市場ではGPIFの国内株式比率が12%から20%に引き上げられるとの期待が強い。酒井氏は「私学共済としては一元化のあと、残った資金を独自財源として運用するので、今の時点でリスクをとる必要はない」としながらも、「経理や人の対応など実務面での対応を含め、一元化を考慮した運用を行っていく」と述べた。

(杉山容俊 編集:伊賀大記)

 
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