とかく「造る」ことに傾きがちな意識が、ようやく変わりつつあるのだろうか。

 国土交通省が高速道路を念頭に「賢く使う」と唱え始め、審議会で検討がスタートした。

 渋滞の「名所」で、安全を前提に路肩をつぶして車線を増やす。料金を工夫して車の流れを制御し、渋滞を防ぐ。このあたりに狙いがあるようだが、「使う」を極める大切さは、わが国の厳しい状況からも明白だ。

 高度成長期に整えた社会基盤が一斉に更新期を迎えつつある。財政難が深刻ななか、インフラでは新設から維持更新へとかじを切り、一部については「捨てる」発想が欠かせない。

 「使う」ための検討を通じて、真に必要なインフラを絞り込む。そうした問題意識を忘れないでほしい。

 国交省が「使う」ことを強調するのは、首都圏や近畿圏では、高速道路の整備が終盤に近づいてきたためだ。

 首都圏では、都心環状線の外側を囲む中央環状線など「3環状」の工事の大半が、あと2年ほどで終わる。首都圏を通過するだけの車には、どの環状道路を通るか選択肢は広がる。

 渋滞解消へのカギは料金だろう。建設時期の違いから路線ごとにぶつ切りの体系を一本化する。渋滞しやすい区間や時間帯は料金を高く、すいている区間や時間帯は安くして車を誘導する。ETC(自動料金収受システム)の普及で環境は整ってきた。具体化を急いでほしい。

 一方、地方については、国交省は「道路網はまだ貧弱」と強調する。東日本大震災後は防災対策としてルートの二重化を掲げ、地方都市を支えるために市街地へ機能を集約しつつお互いに結ぶ「コンパクト+ネットワーク」を主張する。

 防災や地方対策に名を借りたバラマキが許されないのは言うまでもない。一つひとつ、費用対効果も踏まえて必要性を吟味すべきだ。

 高速道路では、05年の公団の民営化時に「50年までに債務を返して無料化する」と決めながら、大規模更新費を計算していなかったお粗末さで、65年までの有料化継続が決まった。更新が必要な路線は今後増えるだけに、無料化は難しいだろう。

 学校や病院を除き、道路や下水道、空港など国交省が所管するインフラだけでも、維持更新費は20年後には最大で13年度の1・5倍、5・5兆円に膨らむとの試算もある。

 「造る」から「保つ」「使う」、さらに「捨てる」へ。問われるのは発想と実行だ。