May 25, 2011

viBirth Artist Interview♯026『竹本健一』

 
 

 竹本健一

3ピースバンド「PHONES」のヴォーカルとして、2003年にメジャー・デビューを果たし、圧倒的な存在感を放ったシンガー・ソングライター、竹本健一。5年間のバンド活動を一旦ストップさせた後は、歌い手としてだけではなく作曲家としてもその名を馳せてきた。Crystal Kay、鈴木雅之、中島美嘉、ATSUSHI(EXILE)など、今までに楽曲を提供してきた錚々たるアーティストの顔ぶれが、彼がいかに作曲家としての実力をも兼ね備えているかを証明する。それと並行し、ライヴやミニ・アルバムのリリースなど、自身の歌い手としての活動も行なっているが、この度5月25日(水)、満を持して1stフル・アルバムをリリースすることとなった。自身の音楽活動の根底にあるのは、ブラック・ミュージックへの深い愛情と造詣だという竹本健一の音楽論を伺ってみたい。


-音楽との出会いについて教えてください。

「うちは音楽一家でもなんでもない普通の家庭で、特別音楽に触れる機会もなかったので、小さな頃はテレビの歌番組からの音楽情報が全てでした。そんな環境で僕が最初に衝撃を受けたアーティストは、実は風見しんごさんだったんです。当時小学生だった僕が、ブラック・ミュージックやカルチャーを知るきっかけとなった方ですね。ライヴ映像を見てもらえると分かるんですけど、もうとにかく凄いんですよ! 影響受けまくって、真似してブレイクダンスやってましたもん、畳の上で(笑)」


-その衝撃的なブラック・ミュージックとの出会いを経てからの音楽遍歴はどのようなものでしたか?

「情報源の全てがテレビだった僕が、ラジオで洋楽を聴くようになって、さらにブラック・ミュージックに深くハマッていきました。高校から大学くらいの頃は、90年代のR&Bを良く聴いていたんですが、特に影響を受けていたのはベイビーフェイスですね。彼はアーティストとしてもプロデューサーとしても有名だし、沢山楽曲をリリースしていたから相当聴いてました。とはいえ、全てにおいて彼を崇拝しているわけではなくて、歌い手としてはローリン・ヒルやエリカ・バドゥ、ディアンジェロといった、個性とカリスマ性を持ったアーティストに憧れていたりもします」


-いわゆるネオ・ソウルといったジャンルの黄金期のアーティストですね。今回のアルバムにもそういった音楽の影響が少なからず感じられるような気がします。以前の作品よりもサウンドの奥行き、表現の幅が広がったというか。ご自分ではどのように感じていますか?

「打ち込みによる作曲もしているんですけど、今まで色々やってきて、自分の経験値や知識、単純にそういったものが向上して、音のクオリティが上がったという部分もあります。自分でミックスしている曲もあるし、以前より表現できる幅は広がったでしょうね。全てを自分で作った曲以外に、他のアーティストとコラボレーションして作った曲が多いので、全体としてはまとまりのない感じになっていますが(笑)」

竹本健一


-今回、origami productionsからShingo Suzuki、渥美幸裕、45 a.k.a Swing-o。そしてShingo.Sといった4人のアーティストが、アルバムに参加していますね。

「結構以前から自分もプレイヤーとして、彼らとセッションやライヴをやらせて頂いていたんです。どういった音を作る人たちだっていうのも分かっていたので、今回一緒にやろうとオファーをさせてもらいました。実際、みんなそれぞれ個性があって、曲の作り方も全然違うんです。自分で曲を作りながら僕は、『自分はコレだ!』っていうものを、実は見つらけれていないところがあるんですけど、他人と一緒にやることで色々なことを気づかされることが多いです」


-多様なタイプの楽曲がたくさんありますが、アルバムのコンセプトはどんなものなのですか?

「単純に今まで配信限定でリリースした曲を、パッケージ化したかったっていうのもあり、色々なアーティストに協力してもらって、様々な音楽的アプローチをしてみたいって希望もあって、はっきりいって収録されているサウンドはバラバラ(笑)。サウンド的なコンセプトはありませんが、『ACTIVATION』(英語で「活動的になる、機能を有効にする」の意)ってタイトル通り、これから動き出すぞ、チャレンジしてみようというのが今の僕の気持ちだし、それがコンセプトと言えるかもしれません」


-どのように曲を作っていったんでしょうか?

「僕が作って歌う曲の中には、格好つけてやっていたり、等身大ではない部分もあるんです。憧れているアーティストやいいなって思う曲だったり、何かの真似をするところも実際はあるし、色んなものに影響を受けていることが多い。作詞に関しても歌詞の全てが自分の中のリアルというわけではないけど、その情景やストーリーの中にある感情はリアルですよ。さらにいうと実際に曲を作るときは、ふと浮かんだアイディアを元にすることが多いので、はじめからこういう風にしようと思って作り出しても、なかなかうまくいかないです。職業作家には向かないのかもしれないです(笑)。ふと女性向けの曲が生まれたときに、女性アーティストに楽曲を提供したのがきっかけで、楽曲提供を行なうようになったんです。なので、今でもオーダーを受けて作るのではなくて、アーティストの方に曲のストックの中から、たまたま聴いてもらって気に入った曲を提供しているパターンが多いですね」


-作曲家として勢力的に活動されているときも、並行してシンガー・ソングライターとしての活動も行なっていましたが、今回改めてソロ・デビューという形になった経緯はどういったものですか?

「ずっと僕の歌を聴いてくれていたファンからの声が一番大きいです。歌は今までも自然に続けていたことだし、作曲家と自ら歌うアーティストとを、完全に切り分けて考えているわけではなくて、うまくリンクできる部分はあると思うし。普段は洋楽中心にヒット・チューンを聴いているんですけど、とりあえず流行っているものは一通り。いや、というより古いものを漁って聴くタイプじゃなくて、最先端ものが好きなんですよ、僕。でもそんな流行好きな自分と、歌い手として表現する自分を、これからもうまく両立させていきたいですね。といいつつ、やりたいことがコロコロ変わっちゃったりもするんですけど(笑)」

kenichi takemoto

-今後の展望はどういったものですか?

「ライヴに力を入れていきたいですね。東京でのワンマンはやらせて頂いていますが、地方でもやりたいです。あと、今回のアルバムはやりたいことを詰め込んだだけなので、もう少しコンセプトがあるものも作ってみたいですね。サウンド的には優しい、メロディ重視の歌モノを作ってみたいなと。昭和初期にあるような印象的なメロディみたいなイメージかなぁ。聴いたときに歌が耳に残るような」


-では、最後にviBirth Magazine読者にメッセージをお願いします。

「今回のアルバムには、全て自分で作っている曲と、コラボレーションしている曲が入り混じってて、色々な竹本健一が見られると思います。『ACTIVATION』という言葉の通り、コレを聴いた人にとって僕の曲が、物事を何か始めるきっかけになればいいなと思っています」




メジャーの世界を経て、改めてソロ・アーティストとしてのキャリアをスタートした竹本健一。彼はその温かくソウルフルな歌声とは裏腹に、自分を冷静に見つめ、向き合っている。自分の音楽の可能性を模索しながらも、柔軟に色々な方法で表現し続けている。ポップな要素と圧倒的な音楽的センスを両立させる、優れたバランス感覚と持ち合わせている数少ないアーティストの1人である彼の作る音楽は、この先も変化をやめないのだろう。


取材、文/濱安紹子
撮影 / 山口洋樹

■竹本健一ワンマンライブ「XY Scream2」■
日程:2011年6月10日(金)
OPEN/START:19:00/20:00
会場:Mt.Rainier Hall SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
料金:前売り3500円 当日4000円 別途ドリンク代
お問い合わせ:03-5459-5050(マウントレーニアホール シブヤ プレジャープレジャー)
備考:全席指定

『BAND メンバー』
Key&Backin Vocal:Luzfonte/Key:佐藤真吾/Guitar:田中"TAKU"拓也/Bass:湯浅崇/Drums:村上広樹/Backin Vocal:DAISUKE/Backin Vocal:吉岡悠歩

[ワンマンライブ予約方法]
liveyoyaku@gmail.comまで
件名:ワンマン
・お名前
・枚数
・発送先ご住所

をご記入の上送信下さい。


竹本健一の『ACTIVATION』は下記ウィジェットより試聴・DLが可能です。

竹本健一:http://www.vibirth.com/artist_detail/kenichitakemoto

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