動く影
2022年4月13日A.M.13:13
大韓民国海軍釜山広域市南区
私は蘭寵翁。我が大韓民国海軍総司令官を務めている将官だ。私は今総司令官である朴欄票大将から日帝が領土と言っている独島、対馬、讃岐諸島を同時に占領できないかと依頼され、部下たちにシミュレーションさせ、その結果が昼休み後の今、結果が出てきた。
「う~む・・・やはり無理があるか・・・」
私はその結果を見た瞬間ため息をついてしまった。やはり海上自衛軍最強の『やまと型』に機動部隊、空自に陸自。まったく、厄介な連中が多いな・・・いや、おまけにこちらの戦力の要となるはずの独島級揚陸艦にミサイル駆逐艦である世宗大王級ですら奴等の『あたご型』に『こんごう型』に数は当然の如く、質ですら劣る始末である。ならば・・・
「朴大将の言うとおり、暴走したように見せてやるしかないか・・・」
よりにもよってまさかこのような卑劣な手段を取らざる負えないとはつくづくうんざりする。それに下手をすれば米帝の参加を招いてしまう。すると矢張り‘だまし討ちで’日本本土。それも首都の近くまで攻める必要があるが・・・
「司令。先程第八機動団から無電で、ここ(釜山)の基地に二時間後に到着すると」
「そうか!!」
部下からの報告に私は舞い上がった。
何故なら第八機動団は我が国唯一の『空母機動部隊』だからだ。近年の予算不足で一時は戦力化が危ぶまれたが先月、戦力化が完了し第七機動団と第五機動団と組ませ新たに第四艦隊を編成する予定だ。我が国初の空母である『李承晩』は俗に言う『原子力空母』であり、世界で四番目である。因みに二番艦『朴正熙』は通常動力空母として就役したばかりで戦力化が整って言うのが実情だ。ただ人材なら余裕がある。何せ北朝鮮を併合しているからな。その際北朝鮮海軍の人員を我が大韓民国海軍に充てたのだ。
「すごいですね!これなら倭人共に鉄槌を下せますね!!」
・・・まったく、私の周りにいるのは差別主義者しかいないのか?かく言う私も倭人どもは嫌いだ。だがいくらなんでも行き過ぎだ。これではいずれ我が国は崩壊してしまうぞ!
「ああ、そうだな・・・」
部下の発言に私は相答えることしかできなかった・・・
同日
大韓民国海軍ミサイル巡洋艦権慄
私の名前の由来は倭人の豊臣秀吉が私たちの祖国である朝鮮に侵略してきた際にこれを撃退した将軍の名前に由来するの。だから私が就役したときはみんなが倭人の歓待を粉砕することを夢見てたみたいだけど・・・
ごめん、さすがにそれは無理だから。
それより倭人のやまと型の方が凄いから。うわさだと対空迎撃率100%だから。うん私じゃ全然歯が立たないから。てか、どこをどう間違えたらそんなチート艦ができるのよ。私たちより劣る劣等民族の癖して。
だめだ。そんなことを考えていたらやる気がうせた・・・
「どうしたのさ?権慄」
「あっ西厓柳成龍さん」
ネガティブに考えていた私に声をかけてきたのは韓国の中でも数少ないイージス駆逐艦の西厓柳成龍さん。この人の名前も一時期私と同じ名前の権慄になるはずだったんだけど結局西厓柳成龍になったから私と仲がよくて尚且つ私の数少ない友達です。でも姉妹の仲は悪いみたい。フリゲートのウルサンさんによればなんか一番艦の世宗大王さんが文字通りの女王様風で私たち韓国海軍の頂点が私だとか、いろいろと変なことを言ってるらしくて、どれで中が悪いみたい。
「浮かない顔しちゃってさ。かわいい顔が台無しだよ?」
「そ、そんな。私可愛くなんか・・・ない」
自分の顔が熱くて真っ赤になっているのが分かる。多分林檎みたいになってる・・・
西厓柳成龍さんはみんなのことを良く見てくれるんだけど、その・・・百合性が、ね。
うぅ、こんなので勝てるのかな?日帝・・・日本に・・・
同日A.M.16:00
大韓民国首都ソウル大統領官邸
「ようやくできたか」
大統領官邸に先程来た朴大将を出迎えた私は出来上がった作戦計画書を手渡された。内容は日本本土占領計画だ。
「えぇ、時間は掛かりましたが何とか。これは計画の資料です。後は閣下が訂正点をご指摘していただければ、軍部は訂正いたします」
「ふむ、そうか。分かった。ご苦労だったな大将」
「いえ、では私はこれで」
「ああ、そうだ。‘アレ’は使用に入れてないだろうな?」
アレとはアレのことだ。確かに威力はいいがわれわれの領土に撃っては意味がないからな。
「ええ、その点はご心配なく。使用にはすべて通常弾頭のテポドン、ノドン、さらに我が国の玄武巡航ミサイルを使用しますので。文字通り、最終手段として使用しますので」
「ふむ、そうか。では下がっていいぞ」
「はっ、では私はこれで」
朴大将はそういうと執務室から退出した。
さて、資料を見て訂正点でも探すとするか・・・
『李承晩級原子力空母』
フランスのシャルル・ド・ゴール級原子力空母と同等ながらも艦載機運用能力が低く、軽空母程度の飛行隊しかもてない。しかしそれでも、日本にとっては脅威であることには違いない。
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