2011.10
【著者:村松 行人】
レンタル市場のサバイバル
(6)コミック・レンタルとの相乗効果(1/4)
「レンタル店はなくなる?」
先日こんな恐ろしい見出しでHuLu(フールー/米国のネット動画配信サービス)の日本進出が報道されました。
米国では広告付きの無料映像配信サービスと、定額月極め(8ドル)の広告なし映像配信サービスがあり、見逃した放送直後のTVドラマをいち早く視聴できることで支持を拡げ、サービス開始から3年で黒字化し、有料サービスの会員数は100万人超とか。
日本向けサービスは月極め1,480円(米国の2倍)。映画やTVドラマが見放題ですが米国向けと違いごく限られた旧作映画とTVドラマだけで最新の映画やTVドラマの視聴はできません、コンテンツ数もごく少数。徐々にコンテンツは増えるでしょうが旧作だけしかもこの程度の作品では日本の視聴者は満足しないでしょう。「レンタル店はなくなる?」などという大げさで無責任な言動には困惑するばかりです。
それどころか米国ではHuLu 社は売りに出されており、買い手としてグーグル、マイクロソフト、アップルの3大IT企業が手を揚げていること注目を集めています。同社はNBC、Fox、ABC(ディズニー)など大手メディア(コンテンツホルダー)の合弁会社、設立3年で2億4000万ドルの黒字を出した、映像配信ビジネスとしてはNetflixと共に数少ない成功例ではありますがその収益額は出資メディア各社の期待値とはほど遠く売却されることになったのです。つまり、映像配信は儲からないということ、ハリウッドその他のコンテンツホルダ-にとってインターネットというメディアはこの先もあまり期待できない収益源という認識が強まっている気配がします。
それよりも気になるのが特に3:11の震災以後YouTube(ユーチューブ)等の動画サイトを視聴する主婦層や中高年、高齢者がうなぎ登りに増えていること。事件や投稿その他雑多な映像をあれこれ見て楽しむという新しい余暇時間の過ごし方です。「見はじめると1~2時間はすぐ経ってしまう」といった会話をよく耳にするようになりました。昨今の来店客数減の一因ではないでしょうか。
毎回同じことの繰り返しですがレンタル市場はいま、無益な料金戦争などしている時ではないのです。サービスや店作りの質の低下が客離れを加速し、放置すれば米国のブロックバスターやムービー・ギャラリーと同じ道を進むことになりかねません。