みなさん、こんにちわ。

舛添都知事の訪韓が議論を呼んでいるが、私も「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ「飛んで罠にいる小物政治家」ではないかと思った。その理由を説明しつつ、さらにこれから韓国が日本に仕掛けてくるであろうタカリ行為について警鐘を鳴らしたい。

東京五輪開催を「国策妨害」した韓国に卑屈な笑みを振りまく愚
去年のちょうど今頃、韓国が何をしていたか、思い出してみるべきだ。韓国は官民一体となって、東京がオリンピックの20年度開催都市として選ばれることを執拗に「国策妨害」していたのである。彼らは福島の汚染水問題と東京開催を無理やり結びつけて、IOCや海外メディアに対して東京がさも危険であるかのように触れて回った。だから選考の際、東京は各国からあれほど厳しく詰問される羽目になったのである。韓国政府はわざわざ選考の最終局面になって日本の水産物の輸入禁止措置まで発表し、「東京五輪はこんなに危険なんだぞ」と世界に向かってアピールした。また、並行して、政府が資金を出すVANKという韓国の民間団体は、IOCや海外メディアに対して執拗に東京のネガティブ宣伝を行った。なんでも“嫌韓デモ”とやらを容認する“人種差別国家”だから五輪を開催するな、ということらしい(なんで嫌韓デモが起こるかまでは頭が回らないらしい)。

周知の通り、日本を陥れようという韓国の卑しい試みは、滝クリ女史らのプレゼンの前に挫折した。正直に言うと、私個人は関東の震災勃発を懸念し、今は防災に尽力すべきだと思っていたので、開催決定には複雑な心境だった。ただ、決まった以上は全力で成功させねばならない。それは反対派の都民も同じ想いだと思う。

それはそうと、今回、妙な後味の悪さを覚えたのは、韓国の国策妨害活動に接して「動機の気持ち悪さ」を嗅ぎ取ったからである。韓国はそもそも20年度開催の立候補国ではないので、招致の競争関係にない。そんな国が東京を落選させようという執念に燃え、執拗にネガティブ宣伝工作を行ったのだ。相当の病理だと言わざるをえない。

「日本が華々しい国際イベントをやるのが許せない」
「なんでもいいから日本に嫌がらせしたい」
「とにかく隣国に苦痛を与え、苦しむ姿が見たい」
明らかに、このような醜悪な対日心理が透けて見えたのである。

そういえば韓国人ブロガーのシンシアリー氏が、祖国を指して「反日黒魔術国家」と非難したが、日本への憎悪のあまり、韓国は本当にそういう暗黒面に堕ちつつある。

さて、問題は、こういう韓国の卑劣なやり方に対して、舛添都知事はどういう公的立場にあるのかということである。東京都民と都の公益を代表しているのなら、まず抗議しなければならないのではないか。仮に今度のごとき対韓姿勢が他の知事によるものだったら、私も他の人々も、これほど腹が立たなかった。言うべきことを言わず、「隣国といがみ合っていてはいけない」という一般道徳でなし崩しにしてしまったから、多くの人が怒っているのだ。ましてや、舛添氏は朴槿惠大統領と会談し、「正しい歴史認識の共有をせよ」とか「従軍慰安婦問題の解決をせよ」という“お言葉”まで頂戴した。

抗議すべき立場の人が、逆に説教を賜ってきたのである。もはや「マゾゾエ」だ。彼だけでなく、えてして日本の政治家にありがちなことだが、「相手と友好関係を築く」ということは「相手に迎合するだけの奴隷になる」こととは違う。しかも、それで都知事のいう「日韓関係の改善」に繋がるならまだしも、かえって逆効果なのだから、二重に失策である。

韓国人の立場からすれば、東京五輪開催を妨害する真似をしても、結局、報復どころか、東京の首長から一言たりとも抗議を受けることはなかった。それどころか逆に、日本人のほうから頭を下げて「日韓友好」とか「日韓関係を改善しよう」と言ってきた。これでは、従来の「対日嫌がらせ外交」の正しさを確信するばかりだ。むしろ、「苛めれば苛めるほど、奴隷のように擦り寄ってくる」と、韓国人の反日悪心を増長させたに違いない。

平昌冬季五輪に協力させるのが韓国の真の狙いだ
さて、私が一番の問題だと思ったのは、実は、舛添都知事が東京五輪開催に向けてソウル市と協力関係を結ぶ合意書を締結したことだ。会談の際、朴元淳(パク・ウォンスン)市長は東京五輪のPRバッジを胸につけ、舛添氏のことを「兄」などと持ち上げたという。そして平昌冬季五輪を引き合いに出し、「交流できることを期待している」と語ったそうだ。韓国の政治家がこんなふうにへりくだってみせる時は、日本人を利用してやろうという底意がある時だ。おそらく、ここに日本を嵌める「罠」が隠されている。

韓国側の報道を信じるならば、18年開催の平昌冬季五輪は、資金や競技場の整備の問題などを抱えており、ピンチの状態だという。組織委はスポンサーを集めることができず、競技場の着工が大幅に遅れている。IOCに直接援助を申し入れ、組織委員長の金氏が先日辞任(逃亡?)した。「朝鮮日報」(14 7 26)によると、IOC委員から「これまで平昌を何度か訪問したが、何も変わっていない」と「激しくののしられた」という。

さて、こうなると、今までの例からして、韓国人の考えることは一つだ。日本人をおだてて資金・技術・ノウハウなどを引き出すことである。ただし、今回は、自分たちが東京五輪開催を散々妨害してしまった。普通なら、その非を詫び、頭を下げて協力を乞わねばならない立場だ。だが、それだけは嫌だ。だから、なんとかして頭を下げなくてもすむ方法を考えねばならない。実は、たった一つだけ、その方法がある。

それが「日韓が互いのオリンピックに対して相互に協力する」という体裁を整えることなのである。おそらく、今回の「合意書」で、韓国側は東京五輪に対して実に些細な“協力”をしてくるか、又はする用意をするだろう。すると、次に彼らは、「こっちが東京五輪に協力するわけだから、日本側も平昌五輪に協力して当然だ」と、必ずそれを盾にとって要求してくるに違いない。だが、相手への貢献度でいえば、おそらく「1:100」くらいだ。つまり、内実はというと、日本側が一方的に韓国に協力するものに他ならない。しかし、政治的にいえば、あくまで「相互協力」であり「対等な関係」なのである。

こんなふうに、それまで散々日本の足を引っ張りながら、自分たちが困った時には「友好」とか「協力」という美名を使って、なんとかして、お人好しの日本人を騙して利用しようとする。そうやって日本の金と技術で冬季五輪を成功に導きながら、その事実は国民の目から隠して、「すべて自分たちの力でやり遂げた」などと謳いあげる。これこそ、韓国の常套手段であり、彼らの口にする“日韓協力”の実態である。

いや、すべて自分の功績としてでっち上げる程度なら、まだ韓国人としては良心的なほうだろう。私の予測では、平昌冬季五輪が無事終了したら、今度は全力で東京五輪の妨害工作を再開するだろう。「まさか?」と思う人は甘い。彼らは間違いなく、東京のネガティブ・キャンペーンに全精力を注ぎ、日本に恥をかかせようと策動するだろう。韓国人というのは、もう、そういう民族だとしか言いようがない。彼らが「日本の恩を恩で返す」などということは、人類が死滅する日まで、絶対に期待できない夢物語だ。

ジャーナリストの室谷克実氏は、すでに昨年の段階から、「相互協力というのは名ばかりで、日本からカネと技術を引き出そうというのが本当の狙いだ」と見抜いている。問題は「どうやって」だったが、うまく使われたのが舛添都知事であり、今回の訪韓だったのである。韓国人は、知事としての実績に飢えている舛添氏の功名心を利用することを思いついた。おそらく、おだてられた舛添氏は、「冷え込んだ日韓関係改善の立役者」という餌に飛びついたのだろう。そして、「東京五輪と平昌冬季五輪の連携と協力を深め、日韓関係の改善をめざす」という、まさに韓国側の目論見通りの行動を取ったのだ。

だが、日本からすれば、東京五輪開催にあたり、そもそも韓国側の“協力”なんか必要ない。だが、愚かにも舛添都知事はそれについてソウル市と「合意書」を締結してしまった。これで韓国側は今後、「こっちも協力するのだから、そっちも協力しろ」と、ネチネチと精神的に日本人を追い詰めてくるだろう。すべてはこの小物知事のせいである。

(付記)
Q「ほかの政治家も朴大統領との会談を模索してきたが、実現しなかった。知事との会談が実現した理由をどう分析するか」
A「朴大統領みずからが今のままの日韓関係でいいとは思っていないことが、最大の理由だと思う。東京から日韓関係をよくすることは大きな意味を持つ、という寛大な心でお迎えいただいた。」
(東京新聞Web 2014年7月26日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20140726/CK2014072602000139.html


こういう質問をする東京新聞の石川記者もどうかと思うが、「寛大な心でお迎えいただいた」と嬉々として答える舛添都知事の卑屈な姿勢にも、心底疑問に感じた。たしか英語でこういうのを“スレイブ(奴隷)メンタリティ”と言うのではないだろうか。

マゾゾエ外交のツケは重い。

(フリーランスライター 山田高明 yamadataka@mbr.nifty.com)

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