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宇宙飛行士 若田さん「経験ない緊張感」
7月29日 12時26分

宇宙飛行士 若田さん「経験ない緊張感」
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日本人として初めて国際宇宙ステーションの船長を務め、27日、日本に帰国した宇宙飛行士の若田光一さんが29日記者会見し、「宇宙ステーションの船長という任務の緊張感は、これまで経験したことのないものだった」と宇宙での大役を振り返りました。

宇宙飛行士の若田さんは、ことし5月までおよそ半年間、国際宇宙ステーションに滞在し、最後のおよそ2か月間は、日本人として初めて船長を務めました。
NASA=アメリカ航空宇宙局の施設での、重力に適応するためのリハビリなどを終えた若田さんは27日、日本に帰国し、29日、東京で記者会見しました。
その中で、若田さんは、「世界15か国の技術で作り上げた宇宙ステーションで、6人の乗組員の安全、健康を保ち、トラブルがあっても機能を維持するという、船長として任務の重さをしっかりと感じながら仕事をした。そういう緊張感はこれまでにないものだった」と宇宙での大役を振り返りました。
そして、今後の目標について問われると、「自分が船長に就任した背景には、日本の宇宙開発に対する信頼があった。今後は日本から、第2、第3の船長を輩出できるよう支援に当たりたい」などと、抱負を述べました。
また、日本の子どもたちが歌う「ふるさと」という曲を宇宙で聞いたエピソードを紹介し、「暗黒の宇宙に浮かぶ青い地球を見ながら聞くと、本当にふるさとに生まれて良かったと思った」などと感想を話しました。
若田さんは8月23日まで日本に滞在し、31日、千葉市で開かれる宇宙探査についてのシンポジウムに出席するほか、8月22日には東京で、宇宙ステーションでの活動の一般向けの報告会を行う予定です。

「和の心」で船長の任務

高度およそ400キロを飛行する「国際宇宙ステーション」は、サッカー場ほどの大きさがあり、6人の宇宙飛行士が同時に滞在することができます。
宇宙ステーションの中は逃げ場のない閉ざされた空間で、長期間いると精神的にも肉体的にも強いストレスがかかります。
こうした厳しい環境で任務をこなす各国の宇宙飛行士の健康状態に気を配り、滞りなく業務が進むよう管理するのが、今回、若田さんが日本人として初めて務めた船長の任務です。
滞在中の宇宙飛行士は、分刻みのスケジュールで仕事に追われます。
船長は、乗組員の仕事ぶりを常に把握し、疲れが見える場合は、任務の中断やスケジュールの見直しを求めます。
また、船長の力量が最も問われるのが緊急事態での対処です。
事故やトラブルが起きた際、対処を誤れば乗組員の命に関わります。
乗組員の安全に責任を持つ船長には、的確な判断と実行力、リーダーシップが求められます。
さらに大切なのが、乗組員や地上の管制官など、多くの関係者との信頼関係です。
万一の際、船長は、乗組員の命を預かることになるため、事前に信頼関係を築いておくことが不可欠です。
若田さんの場合、船長就任が決まった直後から「和の心」をキャッチフレーズに掲げ、日本人特有の気配りや協調性を前面に出して周囲の信頼を得ることに成功しました。
そして、宇宙滞在中も夕食を全員でとる機会を設けて、円滑なコミュニケーションをはかり、船長の任務を無事やり遂げました。

宇宙での滞在日数 日本人飛行士で最長

宇宙飛行士の若田光一さんは、去年11月からことし5月までのおよそ半年間、国際宇宙ステーションに滞在しました。
このうち、3月上旬からの2か月間は、日本人として初めて宇宙ステーションの「船長」に就任し、合わせて6人の宇宙飛行士のリーダーとして重責を果たしました。
宇宙滞在中、若田さんは、日本の実験棟「きぼう」を使ったさまざまな実験も行いました。
日本とベトナムなどが共同開発した超小型衛星をロボットアームで宇宙空間に放出したり、休眠状態の昆虫に水をかけて蘇生させるなど、取り組んだ実験は多岐にわたりました。
このほか、高感度カメラを使ってすい星を撮影したり、地球上のさまざまな場所を宇宙から撮影してインターネットのツイッターに投稿したりして、宇宙の魅力を多くの人に知ってもらうための情報発信にも積極的に取り組みました。
こうして日本人最多の4度目の宇宙飛行を終えた若田さんは、宇宙での滞在日数が合わせて348日となり、野口聡一さんが持っていた177日を大幅に上回って、日本人としての記録を塗り替えました。

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