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伝説の木の棒 後編 作者:木の棒

第2章 3人娘

第13話 アーシュ VS ラミア

 ベニちゃんの残念鬼化の現実を受け入れた俺は、今日もアーシュ達との修行です。
 今日の相手はラミア。

 アーシュVSラミアです。


 このラミアの能力はやっかいだ。
 見ている限りにおいては、完全に水を支配している。

 そして、その手に持つ鞭が唸るように襲ってくる。
 こちらの攻撃は水の盾が自動防御だ。


 ベニちゃんの合図で試合開始。

 予想通り、ラミアは距離を取って、水蛇を放つ。
 透明な水蛇が地を這って襲ってくるのだが、これが想像以上に見え難い。

 水色なんていうけど、本当の水は透明なんですよ。
 いや、色ついた水もあるけどさ。

 ラミアの水蛇は透明そのもの。
 見え難い水蛇が……3匹か?アーシュに向かってくる。

 アーシュは見え難い水蛇もちゃんと見えているようだ。
 綺麗に紫電魔刀で水蛇を切り捨てる。


 たしか雷って水を通って感電させることが出来るんだっけ?
 ゲームでは水属性の敵は雷に弱いというのが定番だ。

 なら、このやっかいなラミアの能力も、アーシュにとっては問題ないのではないか。

 そう思っていた時期が俺にもありました。
 雷は伝わっていきません。

 ぜんぜん、水の中を伝わっていきません。
 これはたぶんラミアの魔力で、雷が伝わるのを阻止しているのだろう。

 ラミアはアーシュに接近されないように、常に水蛇と鞭で間合いを取る。
 アーシュも一瞬の隙をついて一撃を放っても、自動防御に防がれてしまう。
 その瞬間、水蛇が襲ってくるのでまた距離を取らざるを得ない。


 アーシュの魔力が高まる。
 俺はそうに応じるように電光石火を発動する。

 すでに昨日、電光石火を見ているラミアはアーシュが爆発的に速くなることを知っている。
 アーシュの魔力の高まりに合わせて、ラミアの魔力も高まる。


 え……もしかしてラミアも何か必殺技あるの?
 いやだよ、ラミアまで筋肉マッチョになったら、嫌だからね!!!

 そんな俺の心の叫びもむなしく、ラミアは魔力の高まりと共に、





 大蛇へとその姿を変えた。









 神よ、貴方はどうしていつも私に試練ばかり与えるのですか。

 可愛いチャイナ娘は、筋肉ムキムキ鬼になった。
 エロセクシー娘は、ムキムキどころか……人ではなくなってしまった。
 セクシーな踊り子の服から抜け出すように大蛇が現れたのだ。


 体長どれくらいだ?トグロを巻いているからよく分からないが。
 大蛇となったラミアの周りには、相変わらず水蛇がいる。
 水の自動防御も健在か。


 アーシュが駆け抜ける。
 紫電を帯びた自分を完全に捉えられるものかと。

 アーシュは確かに速い。
 ラミアが放つ水蛇は、まるでアーシュの残像を追っているかのように空を舞うだけ。

 アーシュの一撃がラミアを捉える。
 水の防御を超えて、ラミアに一撃入れようとする。

 でも届かない……大量の水だ。
 水が紫電魔刀の俺を押し返す。



 何度目か、何十回目か、もう分からないほどの攻防の末、勝ったのはラミアだった。
 わざと隙を作り、アーシュをそこに誘い込み、地面に潜らせて移動させていた尻尾で、斬りかかってくるアーシュを後ろから捕らえたのだ。

 捕らわれたアーシュは大蛇の舌で、ほっぺをチロチロ舐められていた。




 次の日は、ベニちゃんVSラミアだった。

 勝ったのはベニちゃん。

 ラミアは純粋パワー型には弱いのかもしれない。
 水の自動防御を抜けられると、どうにもならないからな。

 ベニちゃんの発勁はっけいのような攻撃で、水が一瞬で飛び散ってた。



 相性の問題はあるけど、3人とも十分に強い。
 それでも、この暗黒世界を生き抜いていくには、まだまだなのだろう。

 試合形式の鍛錬が終わると、3人で悪魔を狩りに出かける。
 それの繰り返しのこの数日で、俺のレベルもさらに上がっていた。


ステータス
紫電魔刀の木の棒
状態:アーシュの紫電魔刀の木の棒
レベル:23
SP:0
スキル
闘気:レベル5
魔力:レベル5
属性:レベル5
電光石火:レベル5
雷魔法:レベル3



 雷魔法を取ってみたのだ。
 そして、王子の時にもやってみた、1人2役を試してみた。

 言葉は通じないけど、アーシュは俺が何をしようとしているのか、すぐに分かってくれた。

 俺がアーシュに魔力で干渉して、アーシュを伝い雷魔法を撃つイメージを流す。
 アーシュもそれに応えるように、俺のイメージを受け入れて、俺に身を任せるように魔力を解き放つ。

 そして、それは成功した。
 王子の時は成功するにはしたけど、王子の負担が高く実戦では使い物にならなかった。

 でもアーシュは違う。

 魔力レベル5で、深い干渉が出来るからなのかもしれないが、まさに1人2役といった感じで、俺の雷魔法はかなりの威力で発動する。

 アーシュも最初こそちょっと慣れない感じだったけど、今では俺から流れてくる雷魔法のイメージを無意識の中で受け入れてくれて、刀を振るうことへの影響もまったくない。

 俺は初めて自分の力で戦えているような気がして嬉しかった。
 ま、アーシュあってこそなんだけどね。

 俺はなんだかんだで、俺のことクルクルしたりバランス取ったりするアーシュのことを、とても気に入っていた。

 男装麗人で、部屋に戻った時に見せる乙女姿にグッときたのもあるけど、アーシュは頑張り屋さんなのだ。

 きっとあのハールの娘という立場で、常にプレッシャーを感じていたのだろう。
 友達と呼べるベニちゃんやラミアにだって、弱い部分を見せるのは嫌だったんだと思う。

 それが、俺には……ま~棒なんだけど、自分を支えてくれる棒にアーシュも愛着を持ち始めているように見えた。
 そんな強い部分と、弱い部分をどっちも見ることが出来たら、そりゃ~好きになっちゃいますよ!

 棒だけど、俺はどこまでいっても棒だけどさ!


 アーシュ達の修行が始まって5日目の時にハールがやってきた。
 愛娘の修行の様子でも見にきたんだろう。

 何やら話していると、急にアーシュが拒絶の色を浮かべる。
 俺を握り締めて、イヤイヤ!と言わんばかり。

 ん?おいおっさん、まさかアーシュから俺を奪いにきたのか?
 あっちいけ!俺はアーシュのものなんだよ!俺はおっさんの持ち主なんて嫌なんだよ!
 っていうか、お前は俺なんかいらないほど強いだろうが!


 そんな風に勘違いしていた時期が俺にもありました。


 アーシュはハールの言葉に渋々納得して、俺をベニちゃんに渡してみた。
 ベニちゃんが俺の持ち主に登録された。

 俺はすぐに闘気スキルを取って、闘気を纏ってあげた。
 ベニちゃんは俺を持って嬉しそうだったが、アーシュはハラハラドキドキ状態だ。

 続いて、ラミアが俺をベニちゃんからもらう。
 ラミアも持ち主として登録された。

 俺は魔力スキルを取って、ラミアに魔力を流してあげる。
 ラミアもその感触に驚き、俺をうっとりと眺めて口にもっていこうと……


 アーシュが光の速さで飛んできて、俺をラミアから奪った。

 俺はすぐに紫電魔刀を発動させる。
 俺から力が感じられて、アーシュは本当に嬉しそうだ。

 俺をギュッと抱きしめてくれる。
 なんて可愛い子なんだ! 特別に俺をクルクルすることを許そう!



 さて、ベニちゃんとラミアの取得可能スキルなのだが、


 ベニちゃん

 闘気  魔力  属性  体術  鬼神  洗濯


 ………………あれ? ベニちゃんのスキルに洗濯あっちゃったよ!

 それは置いといて、体術は分かるとして、鬼神とは?
 まさかあの筋肉ムキムキになるやつか?

 あれだったら……嫌だな。


 ラミア

 闘気  魔力  属性  鞭術  白蛇  水魔法


 ラミアは白蛇か。

 大蛇になった時、色は白じゃなかったな。
 これは別のものなのか?そう考えると、ベニちゃんの鬼神は別かもしれない!

 希望が沸いてきたぞ!

 ちなみに、ラミアには生活系スキルがない……わけではないのだ。









 ちょっとだけ見せちゃいますよ?














ステータス
魔力の木の棒
状態:ラミアの魔力の木の棒
レベル:1
SP:0
スキル
魔力:レベル1
洗濯:レベル10
誘惑:レベル10
調教:レベル10
奉仕:レベル10




 彼女は既に神だったのだ。
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