「流行性耳下腺炎」、あるいは「ムンプス」が病名としては正式なものらしいが、とりあえず「おたふく風邪」で。7月4日に発症して7月18日まで丸2週間寝込んだ。37年間生きてきて、最悪にしんどい病気だったので、経緯などを記録として。あくまでも俺が経た病状なので、当たり前だが個人差はある。
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0日目…予兆
終日、後頭部と首周りが重く、軽い頭痛。また、耳の下や顎に小さなしこり。しかし体調自体は悪くなく、普段通りの生活を送る。
1日目…発病
朝起きると、耳の下と顎の下にしこり。見た目は変化はないが、触るとゴロゴロして痛い。ちょうど口内炎ができていたので、雑菌が入ってリンパでも腫れたかと思い、朝一番に近所の内科を受診。
先生、患部を触るやいなや「これ、リンパじゃなくて唾液腺が腫れてますね。子供の頃におたふく風邪はやってますか。今から腫れてくると思いますので、帰って安静にしておいてください。積極的な治療方法っちゅうのはなくて、基本的には対症療法しかありませんので、一応、鎮痛剤と解熱剤を出しておきますね。お大事にー」とのこと。
ロキソニンやら胃薬やらをもらい。帰路につく。途中、実母に電話をかけて、おたふく風邪の既往について聞いてみると「覚えてない」との頼もしい返事。ありがとう。
昼過ぎから強い倦怠感を覚え、布団に横になる。体温を測ると、いきなり39度超え。顎周りも猛烈な勢いで腫れ始め、輪郭が変わる。みっともない写真で申し訳ないが、この頃こんな感じ。腫れは左側から始まったのだが、翌日には右側も追いついてきた。
患部の膨張に伴い、激烈な頭痛。喉が狭くなり、この日の夕食から普通の食事が困難に。また、唾液の分泌を促すような酸っぱいものなどを口にすると、詰まった唾液腺に激痛が走る。横になりながらあれこれ調べると、成人してからのおたふく風邪は尋常ではないしんどさという情報が大量に出てきたので、ここらへんから覚悟を決める。
2日目…病状悪化
熱は前日から引き続き、一晩中39度以上をキープ。熱にやられてしまい、30分以上のまとまった睡眠がとれず、妙な夢や喉の渇きで何度も目覚める。夜中、ロキソニンを大量摂取。
消耗しきった状態で朝目覚めると、顔の腫れ、すさまじいことに。2歳の息子、俺の顔を見て戸惑いの表情を見せる。熱、時々40度超え。頭痛激烈。倦怠感猛烈。体温調節が上手くいかず、汗びっしょりになったり、毛布かぶってブルブル震えたり。やはり高熱のため、日中もまとまった睡眠とれず。同じ内容の嫌な夢を見ては目覚めるの繰り返し。食事はお粥とウィダーインゼリーを少々。ただし、ウィダーインゼリーの香料が強烈に感じられてしまい、以後はお粥のみ。
脱水症状もあり、尿の出が悪く、色も濃くなる。
3日目…髄膜炎併発、入院
結果から言うと、おたふく風邪の症状のピークはこの日。毛沢東なみの巨顔に。ど根性セルフィー。白目はわざとだが、気分的には白目。
熱も40度超えで、ここらへんから絶えず目に涙がにじむように。耳にも鋭い痛み。昼過ぎから、人生でこれまで経験したことのない、ハルマゲドン的な頭痛。妻が職場から持ってきてくれたボルタレンも効かず。自室でひたすらうなり声を上げる。日曜なので、ムスコムスメが自宅におり、妻が2人の面倒を見てくれていたが、俺の病気に関しては、なすすべなし。
15時ごろから、立て続けに嘔吐。胃の中身をすべて絞り出してもなお、胃液を吐こうとする我が身体。嘔吐は髄膜炎併発の可能性が高いということで、19時頃、妻に近所の総合病院の救急に連れて行ってもらう。ここらへん、あまりのしんどさに、はっきりとした記憶がない。
救急に到着するも自分で歩けず、車いすを借りる。受付で待っている間にも嘔吐が襲ってきて、トイレで数回リバース。座位もしんどくなり、担架を用意してもらい横になる。この間、俺、浅い呼吸でうなりっぱなし。休日診療の担当医がいろいろと問診してくるが、まともに答えられず、妻がかわりに受け答えしてくれる。
点滴と嘔吐を抑える薬剤の投与開始。おたふく風邪に伴う髄膜炎が疑われるが、入院するに際して必要な検査があるので、それらを行うとのこと。内容としては、頭部レントゲン・超音波検査・CTスキャンを経てからの髄液穿刺とのこと。腰からブチュっと針をぶっ刺すやつ。俺の状態での髄液穿刺を想像し、妻、青ざめる。俺、意識が朦朧としており、なにも怖くない。ただただ、しんどい。
髄液穿刺中の医師と看護師とのやりとりをうっすら覚えている。「圧、高いね」「普通どれくらいでしたっけ」「10■(謎の単位)ぐらいだね」「これ、30■近くありますもんね」とのこと。
入院決定。隔離扱いになるので、個室。俺は朦朧とした意識の中で、ただひたすらに診療室や廊下や病室の天井を眺めていた。嘔吐を抑える薬と、ロキソニンと、髄液を抜いたことによるなんらかの圧の低下のおかげで、数日ぶりにまともな眠りにつく。妻、帰宅。
4日目〜7日目…おたふく風邪、回復へ
入院中はひたすら点滴による補液と、鎮痛剤・解熱剤による痛みのコントロール。おたふく風邪の症状のピークは入院当日だったようで、ゆっくりではあるが回復に向かう。顔の腫れも少しずつ治まる。入院2日目あたりから、体を起こしてテレビを見るぐらいの余裕が出てくる。
唾液腺がふさがっているので唾液が出ず、水分の少ないものが食えない。お粥メインの入院食に飽きたので、妻にカロリーメイトを買ってきてもらったのだが、口の中の水分を全部持って行かれ、飲み込めず。唾液の分泌がまともに戻るまで、結局2週間を要した。
入院3日目にはシャワーを浴びる余裕も。隔離扱いなので病室から出ることができず、持ち込んだ iPad で映画観たり、夜中に起きて W杯の試合観たり。もう少し余裕が出てくると、Kindle でみなもと太郎の『風雲児たち』読んだり。鈍い頭痛がずっとあったので、活字は読めず。
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8日目…退院
熱も下がり、顔の腫れもひいたので、おたふく風邪は終息したとの診断。退院。ただし、髄膜炎の症状はまだ少し残っているので、鎮痛剤を大量に処方される。また、場合によっては時間差で精巣炎を併発することもあるので、気をつけるようにとのこと。
久しぶりに自宅に帰る。妻が用意してくれた床に入り、引き続き安静。おたふく風邪が終わった安堵感に包まれる。
9日目…金玉鈍痛
予め断っておくが、金玉の写真はない。右の金玉にかすかな鈍痛。嫌な予感しかしない。ウェブで精巣炎についてあれこれ調べ、暗澹とした気持ちになる。髄膜炎の頭痛が残っているので、終日安静に。
10日目…金玉疼痛
右の金玉に明らかな疼痛。精巣炎キタコレ、ということで、妻や家族にその旨伝える。俺も覚悟を決める。
11日目…金玉激痛、精巣炎
右の金玉、左の金玉の5倍に膨張。強い赤みと熱感。なにもしなくても激痛。金玉を熱源とした発熱で、全身も39度超え。もうやだ。終日横になり、アイスノンで金玉冷やしたり、頭冷やしたり。もちろんアイスノンは使い分けている。
12〜14日目…精巣炎
金玉の腫れと熱、続く。ムスコムスメにぶつかられでもしたら悶絶死間違いなしなので、家庭内隔離。寂しい、惨め。
15日以降…終息
金玉が縮み始め、熱も下降。布団から這い出て動けるように。
ということで、今に至るわけだが、本当にしんどかった。おたふく風邪の合併症として、髄膜炎と精巣炎をやってしまったのだが、それぞれの合併確率が10%・20%ということで、外出できるようになってまず一番最初に行ったのは、若八幡宮での厄除祈願であることは言うまでもない。
全ての症状が治まって約一週間、先日、射精する機会があったのだが、明らかに右半分が仕事をしていない様子。量的にも快感的にも。一時的なものなのか、未来永劫的なものなのかは分からないが、まあどうでもいいといえばどうでもいいので、放置しておく。
今回の件で完全に懲りたので、数日前に近所の内科で、麻疹・風疹・水疱瘡の抗体検査をしてきた。結果は1週間後だが、抗体がない病気に関しては予防接種をする予定。検査*1も予防接種も自費だが、成人してから罹った場合の苦痛と消耗と出費に比べたら安いもの。また、今回の件で、俺の母親が痛烈に反省というか、後悔していた。当時、両親が別居などでごたごたしていたのも知っているので俺自身は恨み事などを言うつもりはないが、自分のムスコとムスメの病歴管理や予防接種は、しっかりしてやろうと、強く決意。
*1:検査3種の抗体検査で4千円ちょい、おたふく風邪含む4種だと6千円弱ぐらいか。