第3話 究極の選択
オーク達の巣にやってきた俺を待っていたのは絶望だった。
いや、別に大したことじゃないんだけどね。
ブタ顔のサキュバス達がいたのだ。
あ……ありのまま、今、起こった事を話すぜ!
俺は、美人で爆乳のサキュバスが犯されていたと思ったら、
振り返ると、ブタ顔の爆乳サキュバスだった。
何を言っているのか、わからねーと思うが、
ブタ顔のサキュバスは存在したのだ。
え? どういうこと?
オーク達の巣の中を見ると、オーク、サキュバス、ブタ顔の身体サキュバス、サキュバス顔の身体豚人間がいたのだ。
つまり、サキュバスは悪魔との間に異種族間で子が生まれるのか?
ゴブリン達が他の種族に攻めた時に、その種族の女性を犯していたことはあったけど、子が産まれることなんて無かった。
サキュバスと出会ったのは今回が初めてだったしな。
それにしても、上手に子がオーク、サキュバスという統一種族で生まれてきたらいいけど、顔と身体でハーフになった残念な奴らは大丈夫なのか。
悪魔の美的センスでいくと、何も問題ないのかもしれないな。
貴方ならどちらを選びますか?
顔がブタだけど、身体は最高のサキュバス。
顔がサキュバスで超美人だけど、身体は残念なブタ人間。
まさに究極の選択だな。
これについては、本当によ~~~く考えてみて欲しい。
考えれば考えるほど、嫌な気持ちになるかもしれないが、人は己に答えを出さねばならぬ時がある!!
……別にこの答えは必要ないか。
俺の持ち主となったオークロードは、さっきまで持ち主だったゴブリンロードが犯していた、とびきり美人で爆乳のサキュバス相手に、腰を振ってる真っ最中。
しかも俺を手に持って眺めて笑いながら犯してやがる。
その時だ。
事件は起こった。
オークロードは俺で、サキュバスのその尻を叩き始めた。
いわゆる棒プレイですね! ……なんて恐ろしい子!
ついさっき、俺が妄想していたシチュエーションの逆パターンだ。
サキュバスの爆乳や美尻を棒で叩くオークロード。
その度に甘美な声をあげてよがり狂うサキュバス。
こいつら完全にSとMの関係だな。
痛いの嫌なので、俺は最低出力の闘気だけ身に纏っていた。
これならサキュバスが傷つくこともないだろうしな。
それにしても、ハードSMとか俺の趣味じゃなかったけど、こうやって見ると、本当にこんなことで感じているのか?って思っちゃうな。
気持ちいいのか?
だって、棒で叩かれて喜ぶってどういう神経なんだ?
俺には分からないが、分かる人には分かる……人じゃないけど。
棒で叩かれた箇所が赤くなっているが、サキュバスの顔は快楽の色に染まっていた。
その時だ。
再び事件は起きた。
オークロードは俺をサキュバスの口の前に持っていった。
それを見たサキュバスは、棒をうっとりと見つめる。
そして、いやらしくその手で棒を撫でまわしながら、そっと口の中へ……
俺は、闘気を脱ぎ捨てた!
素晴らしい…なんて素晴らしいテクニックなんだ。
最初、棒となって痛みを感じた時、棒に転生したことを悔やんだものだ。
もう“全身”が痛いんだから。
でも、棒で良いことが起きた時、俺は棒に転生したことを神に感謝した。
だって“全身”で喜びを感じれるのだから。
これがどういう意味なのか、どのようなことなのか、分かるのは世界でただ一人、俺だけだろう。
オークロードに対する好感度がちょっと上がったところで、どうやら狩りに出かけるようです。
食糧事情は困っているように見えないから、たぶん俺を使って力を試してみたいんだろう。
とりあえずレベル6まで上がれば、魔剣化出来る。
俺が魔剣化すると、どいつもこいつもビックリして喜ぶんだよな~。
ま~ただの木の棒が、いきなり魔剣化したら、誰だって驚くか。
オークロードは次々と獲物を仕留めていった。
やはりゴブリンよりオークの方が、種として全然強いな。
知能の高さから、俺を警戒してあんな罠を張ったのだろう。
別に正面からやりあっても、勝っていたのはオークかもしれない。
それ相応の犠牲は出ただろうけど。
俺はどんどんレベルアップして、レベル6での魔剣化解放まで、そう時間はかからなかった。
俺かなり強いです。
ステータス
超魔剣の木の棒
状態:悪魔のオークロードの超魔剣の木の棒
レベル:15
SP:0
スキル
闘気:レベル5
魔力:レベル5
属性:レベル5
王子と同じレベルになっちゃったよ!
あの会話するだけでレベルアップしたチート王子と同じレベルですよ!
基本3セットがレベル5になっても、別に何も起きなかった。
魔剣化以降は何もないのかもしれないな。
でも十分に強いし。
いや強すぎるし!
オークロードは、どんどん強くなる魔剣を見て狂喜乱舞。
さらに強い敵を求めだした。
俺の力を過信して、無謀な行動に出ることもなく、着実に俺の力を引き出して、相手との力量を測り、時には1人で、時には数の力で、時には罠で、悪魔達を倒していった。
ゴブルン達は、食べる分以外の狩りはしなかった。
つまり無用な殺生をしなかった。
でも、こいつらは違う。
この世界の悪魔達は食べること以外でも、相手を殺す。
それは己の力を鍛えるためなのか、
ただ遊んでいるだけなのか、
戦うために生きているのか。
高い知能を持つ悪魔達の思考回路を推測することは出来ない。
出来ないが、俺の持ち主のオークは、あきからに俺が強くなっていくことを感じて、さらなる力を求めるために狩りをする。
俺が強くなれば、自分が強くなる。
自分が強くなれば、死ぬ可能性は減り、種の存続のためになる。
ゴブリン達はどちらかというと、種の存続よりも“自分のため”という感じが強かった。
俺の持ち主になりたいために、仲間を襲うことすらあったのだから。
より本能に忠実とも言えるのかもしれないけどね。
ゴブルン達ですら、いま思えば“自分のため”という側面が強かった。
ゴブルンしか狩りに行かなかった。
ゴブルンが食料を調達してくれば、自分達は生きていけるから、自分達は狩りにいかない。
結果、ゴブルン以外のゴブリンは成長せず、弱いままだった。
種全体のためを思うなら、ゴブルンについていくなりして、戦える力をより伸ばしただろう。
ゴブルンにとっても、ハーレムのために、他のゴブリンが強くなる必要は無かったのかもな。
最後はずっと床の隅に捨て置かれていたからよく分からないが、ゴブルンのハーレムの数は異常だったはずだ。
食料を調達することで、自分の子供を多く残す権利を得ていたのだろう。
オーク達はちょっと違う。
ゴブリン達のような、自分のため、ではなく種全体のためという感じが見られる。
俺の持ち主は、特に仲間を警戒することなくサキュバスを犯している。
ま~棒プレイするために、俺を持っていることもあるけどさ。
オーク達の巣にも、ゴブリン達の巣では見られなかった連帯感がある。
それぞれが、自分の役割をこなしている。
ある程度の上下関係があるとはいえ、力の強い者が好き勝手にしているわけでもないようだ。
もちろん、力ある者が一番偉いけどさ。
でも、巣を守ったり、ご飯を作ったり、子供を育てたりといった裏方の仕事に従事している者にも、きちんと権利が与えられているのだろう。
種全体として成長するために、己の得意分野を見極めて、成長していっているのだ。
そして俺はある変化に気付き始めた。
俺の持ち主のオークロードの鼻から……角というか牙というか、なんかそんなのが生えてきているのだ。
それは悪魔達を倒し、肉を食い、女を犯す度に大きくなっていった。
そう……クラスアップの前兆だ。
悪魔達のクラスアップが、どんな条件で達成されるのか分からない。
ゲームのような経験値があるわけではないだろう。
単純に、勝って、食べて、犯すことで、オークが細胞レベルで進化しているということなのか?
ゴブルンがどんどん大きくなって、最後には筋肉マッチョでゴブリンロードになったように、このオークロードは恐らく、オークキングになろうとしているのではないか?
ロードの次ってキングだよね?
俺のゲームとラノベ知識がそう言っている!
あの牙が大きくなり、立派な牙となった時、きっとこいつは王になるのだ。
そしてその考えは見事的中した。
ただ……俺にとって、あまりよろしくない出来事と共に。
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