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伝説の木の棒 後編 作者:木の棒

第1章 暗黒の世界

第3話 究極の選択

 オーク達の巣にやってきた俺を待っていたのは絶望だった。
 いや、別に大したことじゃないんだけどね。



 ブタ顔のサキュバス達がいたのだ。



 あ……ありのまま、今、起こった事を話すぜ!

 俺は、美人で爆乳のサキュバスが犯されていたと思ったら、
 振り返ると、ブタ顔の爆乳サキュバスだった。

 何を言っているのか、わからねーと思うが、
 ブタ顔のサキュバスは存在したのだ。



 え? どういうこと?

 オーク達の巣の中を見ると、オーク、サキュバス、ブタ顔の身体サキュバス、サキュバス顔の身体豚人間がいたのだ。

 つまり、サキュバスは悪魔との間に異種族間で子が生まれるのか?

 ゴブリン達が他の種族に攻めた時に、その種族の女性を犯していたことはあったけど、子が産まれることなんて無かった。
 サキュバスと出会ったのは今回が初めてだったしな。

 それにしても、上手に子がオーク、サキュバスという統一種族で生まれてきたらいいけど、顔と身体でハーフになった残念な奴らは大丈夫なのか。
 悪魔の美的センスでいくと、何も問題ないのかもしれないな。


 貴方ならどちらを選びますか?


 顔がブタだけど、身体は最高のサキュバス。

 顔がサキュバスで超美人だけど、身体は残念なブタ人間。


 まさに究極の選択だな。

 これについては、本当によ~~~く考えてみて欲しい。
 考えれば考えるほど、嫌な気持ちになるかもしれないが、人は己に答えを出さねばならぬ時がある!!

 ……別にこの答えは必要ないか。


 俺の持ち主となったオークロードは、さっきまで持ち主だったゴブリンロードが犯していた、とびきり美人で爆乳のサキュバス相手に、腰を振ってる真っ最中。

 しかも俺を手に持って眺めて笑いながら犯してやがる。


 その時だ。
 事件は起こった。

 オークロードは俺で、サキュバスのその尻を叩き始めた。
 いわゆる棒プレイですね! ……なんて恐ろしい子!

 ついさっき、俺が妄想していたシチュエーションの逆パターンだ。

 サキュバスの爆乳や美尻を棒で叩くオークロード。
 その度に甘美な声をあげてよがり狂うサキュバス。

 こいつら完全にSとMの関係だな。
 痛いの嫌なので、俺は最低出力の闘気だけ身に纏っていた。

 これならサキュバスが傷つくこともないだろうしな。

 それにしても、ハードSMとか俺の趣味じゃなかったけど、こうやって見ると、本当にこんなことで感じているのか?って思っちゃうな。

 気持ちいいのか?
 だって、棒で叩かれて喜ぶってどういう神経なんだ?

 俺には分からないが、分かる人には分かる……人じゃないけど。

 棒で叩かれた箇所が赤くなっているが、サキュバスの顔は快楽の色に染まっていた。


 その時だ。
 再び事件は起きた。

 オークロードは俺をサキュバスの口の前に持っていった。
 それを見たサキュバスは、棒をうっとりと見つめる。

 そして、いやらしくその手で棒を撫でまわしながら、そっと口の中へ……

 俺は、闘気を脱ぎ捨てた!



 素晴らしい…なんて素晴らしいテクニックなんだ。

 最初、棒となって痛みを感じた時、棒に転生したことを悔やんだものだ。
 もう“全身”が痛いんだから。

 でも、棒で良いことが起きた時、俺は棒に転生したことを神に感謝した。
 だって“全身”で喜びを感じれるのだから。

 これがどういう意味なのか、どのようなことなのか、分かるのは世界でただ一人、俺だけだろう。




 オークロードに対する好感度がちょっと上がったところで、どうやら狩りに出かけるようです。
 食糧事情は困っているように見えないから、たぶん俺を使って力を試してみたいんだろう。

 とりあえずレベル6まで上がれば、魔剣化出来る。
 俺が魔剣化すると、どいつもこいつもビックリして喜ぶんだよな~。
 ま~ただの木の棒が、いきなり魔剣化したら、誰だって驚くか。

 オークロードは次々と獲物を仕留めていった。
 やはりゴブリンよりオークの方が、種として全然強いな。

 知能の高さから、俺を警戒してあんな罠を張ったのだろう。
 別に正面からやりあっても、勝っていたのはオークかもしれない。
 それ相応の犠牲は出ただろうけど。

 俺はどんどんレベルアップして、レベル6での魔剣化解放まで、そう時間はかからなかった。


 俺かなり強いです。


ステータス
超魔剣の木の棒
状態:悪魔のオークロードの超魔剣の木の棒
レベル:15
SP:0
スキル
闘気:レベル5
魔力:レベル5
属性:レベル5



 王子と同じレベルになっちゃったよ!
 あの会話するだけでレベルアップしたチート王子と同じレベルですよ!

 基本3セットがレベル5になっても、別に何も起きなかった。
 魔剣化以降は何もないのかもしれないな。

 でも十分に強いし。
 いや強すぎるし!

 オークロードは、どんどん強くなる魔剣を見て狂喜乱舞。
 さらに強い敵を求めだした。

 俺の力を過信して、無謀な行動に出ることもなく、着実に俺の力を引き出して、相手との力量を測り、時には1人で、時には数の力で、時には罠で、悪魔達を倒していった。

 ゴブルン達は、食べる分以外の狩りはしなかった。
 つまり無用な殺生をしなかった。

 でも、こいつらは違う。
 この世界の悪魔達は食べること以外でも、相手を殺す。

 それは己の力を鍛えるためなのか、
 ただ遊んでいるだけなのか、
 戦うために生きているのか。

 高い知能を持つ悪魔達の思考回路を推測することは出来ない。
 出来ないが、俺の持ち主のオークは、あきからに俺が強くなっていくことを感じて、さらなる力を求めるために狩りをする。

 俺が強くなれば、自分が強くなる。
 自分が強くなれば、死ぬ可能性は減り、種の存続のためになる。

 ゴブリン達はどちらかというと、種の存続よりも“自分のため”という感じが強かった。
 俺の持ち主になりたいために、仲間を襲うことすらあったのだから。
 より本能に忠実とも言えるのかもしれないけどね。

 ゴブルン達ですら、いま思えば“自分のため”という側面が強かった。
 ゴブルンしか狩りに行かなかった。
 ゴブルンが食料を調達してくれば、自分達は生きていけるから、自分達は狩りにいかない。
 結果、ゴブルン以外のゴブリンは成長せず、弱いままだった。

 種全体のためを思うなら、ゴブルンについていくなりして、戦える力をより伸ばしただろう。

 ゴブルンにとっても、ハーレムのために、他のゴブリンが強くなる必要は無かったのかもな。
 最後はずっと床の隅に捨て置かれていたからよく分からないが、ゴブルンのハーレムの数は異常だったはずだ。
 食料を調達することで、自分の子供を多く残す権利を得ていたのだろう。


 オーク達はちょっと違う。
 ゴブリン達のような、自分のため、ではなく種全体のためという感じが見られる。

 俺の持ち主は、特に仲間を警戒することなくサキュバスを犯している。
 ま~棒プレイするために、俺を持っていることもあるけどさ。

 オーク達の巣にも、ゴブリン達の巣では見られなかった連帯感がある。
 それぞれが、自分の役割をこなしている。

 ある程度の上下関係があるとはいえ、力の強い者が好き勝手にしているわけでもないようだ。
 もちろん、力ある者が一番偉いけどさ。

 でも、巣を守ったり、ご飯を作ったり、子供を育てたりといった裏方の仕事に従事している者にも、きちんと権利が与えられているのだろう。

 種全体として成長するために、己の得意分野を見極めて、成長していっているのだ。



 そして俺はある変化に気付き始めた。
 俺の持ち主のオークロードの鼻から……角というか牙というか、なんかそんなのが生えてきているのだ。

 それは悪魔達を倒し、肉を食い、女を犯す度に大きくなっていった。


 そう……クラスアップの前兆だ。
 悪魔達のクラスアップが、どんな条件で達成されるのか分からない。

 ゲームのような経験値があるわけではないだろう。
 単純に、勝って、食べて、犯すことで、オークが細胞レベルで進化しているということなのか?

 ゴブルンがどんどん大きくなって、最後には筋肉マッチョでゴブリンロードになったように、このオークロードは恐らく、オークキングになろうとしているのではないか?

 ロードの次ってキングだよね?
 俺のゲームとラノベ知識がそう言っている!

 あの牙が大きくなり、立派な牙となった時、きっとこいつは王になるのだ。

 そしてその考えは見事的中した。
 ただ……俺にとって、あまりよろしくない出来事と共に。
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