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伝説の木の棒 前編 作者:木の棒

第4章 優しい王子

第36話 バハムート

 龍、竜、ドラゴン…。
 常に最強の存在として描かれる伝説の生き物。
 最強はこの世界にも存在した。

 龍を倒しに行く。
 大ちゃんは俺にこの世界のこと、龍のことを話してくれた。

 龍とは…「バハムートの化身」が運んでくる「地の果ての守護者」である。

 まずはバハムートから話そう。
 バハムートと聞くと、某国民的RPGが思いつく。
 バハムート=龍の王というイメージなのだが…バハムートの化身は龍の姿をしていない。

 あいつだ。
 俺がこの世界にきて、ここが異世界だと判断することになった…空を飛んでいた超巨大なジンベイザメに翼と尻尾が生えたような生き物。
 あれがバハムートの化身だったのだ。

 バハムートを見た者はいない。
 っていうか見れない。
 伝承によると、バハムートはこの世界を支えている。
 つまり地下世界よりさらに下にいて、その巨大な背中にこの世界を背負っているんだそうだ。
 バハムートの化身は、バハムートの姿そのものとされているので、あれが1万倍ぐらい大きくなったものがバハムートの本体だとされている。

 バハムートの化身が現れた時に…空から龍が落ちてくるんだそうだ。
 地の果てにね。

 「地の果て」
 この世界の大地は丸くない。
 平べったい。
 つまり地の果てに行くと、その先に大地はなく、ただただ空間が広がっているだけ。
 そこから下に落ちればバハムートの本体に辿り着けると言われている。

 龍はその地の果てを守護している。
 地の果てから落ちてバハムートの場所に誰かが行かないようにしているのだ。

 龍は悪魔と戦ってくれない。
 地の果ての守護者であって、地上界の守護者では無い。
 大ちゃん達に恵を与えてくれる存在では無いのだ。


 さて龍には種類がある。
 種類というか色分けされている。

 赤龍、黄龍、緑龍、青龍、紫龍。

 この5種類の龍は色は違うけど、基本的にみんな同じ強さなんだそうだ。
 赤龍が火属性という訳でもない。
 色と属性は何の関係もないそうです。

 そして5種類とは別格の強さを持っている2種類がいる。

 白龍、黒龍。

 5種類の龍は、強さ的には中穴の悪魔程度の力しかないそうだ。
 それでも十分強いけどね。

 白龍と黒龍は大穴の悪魔クラス。
 相当強いらしい。

 龍はバハムートの化身から運ばれてきた時には、既に成長している龍なので、子供の龍はいない。
 龍がどのようにして生まれているのかは不明なので、子供の龍なんてものが存在するのかも分からない。


 過去に龍討伐は何度か行われている。
 理由は時代によって様々だったとか。

 単純に地の果てから先に行ってみようとした。
 龍の素材から強い武器を作りたかった。
 龍を誘導して悪魔と戦わせようとした。

 被害規模も様々だったらしい。

 さて、龍は大穴悪魔クラスの強さではあるのだが…知能は低いらしい。
 低いというよりも、地の果てを守るという行動にしか興味が無い。
 悪魔は高い知能を持っているので、罠にかけることは難しいけど、龍なら出来る。

 よって討伐は可能。
 ただし、ものすごい数の龍が地の果てを守ってるので、龍を全部倒して地の果てから降りてみる…なんてことは事実上不可能。
 いや、1点突破で地の果てからダイブするぐらいなら出来るけど…したところで生きて戻ってこれないしね。


 大ちゃんは王子のレベルアップのため…さらには龍の素材を手に入れるために龍討伐を決めた。
 龍の素材ってやっぱりすごいのかな?

 (この世界最強の武器防具の素材になるわね。シュバルツやミリアの剣も、過去に手に入れた龍の素材から作られているわ。)

 (あれ?2人が持ってる剣って普通の騎士の剣に見えたけど?)

 (王子の護衛の時には持っていって無かったわ。中穴程度の悪魔の護衛に龍剣持っていかないわよ。でも今回の龍討伐には当然龍剣装備ね。)

 俺は2人の龍剣を見せてもらった。

 ミリアの龍剣は美しかった。
 白龍の素材から作られたその剣は、真っ白で見ているだけで吸い込まれそうになる。
 剣というよりレイピアに近い作りだ。

 シュバルツの龍剣は…良く言えばかっこいい…素直な感想としては無骨。
 黒龍の素材から作れた大剣。
 ミリアの龍剣のような美しいデザイン性は皆無。
 あれだ…「根性」を英語にした名前の人が持つ、あの大剣に似てる。

 さて、龍討伐は決まったのだが、実際に討伐に行くまで1ヶ月ほど準備期間が必要だった。
 シュバルツとミリアが大穴から離れていたこと、さらに龍討伐にもシュバルツとミリアが行くので、大穴管理の調整が必要だった。

 さらに、大ちゃんが「賢老会」に龍討伐を行うことを説明して承諾をもらう。
 いろいろ根回しやらで大変そうだった。


 準備期間の1ヶ月の間に、あることが発覚した。
 お父さん的には大問題だ!

 ニニが…氷魔法の特訓をしていたのだ。
 お昼まで俺との聖樹草茶作りを終えたあと、俺はニニがのんびりと暮らしていると思っていた。
 ところがどっこい…ニニはマリアに直接指導してもらい、魔法使いとしての実力を伸ばしていた。
 ニニはプロジェクトZの詳細は知らない。
 知らないのに…魔法の特訓をしている。
 何か大きなことが起こると感じているのか。

 お父さん的には残念なことに…ニニは魔法使いとしての才能があった。
 当然だろう、スキルで2つも魔法が見えたんだから。
 魔力量も、マリアとの特訓でかなり増えていた。
 あの聖樹草を盗みにいった時に、俺の魔力を使って追手を凍らせたぐらいなら、俺無しでも出来るようになっていた。

 娘の成長は嬉しい。
 嬉しいけど…戦いに近づくようなことはしないで欲しい。

 大ちゃんはニニが魔法の特訓をしていたことを俺に秘密にしていた。
 ニニにも、聖樹様との会話で魔法特訓のことを話さないようにと言っていたのだろう。
 大ちゃん的には、ニニが戦力になるならそれに越したことはない。

 (秘密にしていたこと…ごめんね。でも後は本人の覚悟次第なのよ。妖精とのハーフのニニの魔力量はやっぱりすごかったの。マリアもあと1年もすれば自分以上の魔力量を持てちゃうだろうって。後方支援という形で…ニニをプロジェクトZに参加させたいのよ~)

 ニニがプロジェクトZに参加する。
 それはニニが死ぬ可能性がある。
 でも…プロジェクトZが成功しなかったら…悪魔の侵攻を止めることが出来なくなったら…ニニに待っている未来は同じことだ。

 大ちゃんも、俺がそれを分からないほど馬鹿とは思っていないだろう。
 だから、ニニが特訓でどの程度の才能を見せて、実力を持てるのか…それが分かるまで秘密にしていたんだと思う。
 結果は、戦力になる。
 もちろん魔力量の才能は見えたけど、魔力量が多い=強いではない。
 実力はまた別問題だろう。
 それでもニニを戦力として参加させたいから、俺にニニが魔法特訓しているという情報をさりげなく流したってわけか。


 (分かったよ大ちゃん…プロジェクトZの成功は、この世界のため…ニニのためだもんな。でもニニをプロジェクトZに参加させるために、1つだけ…条件がある)

 (条件?)


 大ちゃんは俺の条件を承諾した。




















 「レベルアップしました。」
















ステータス

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒
状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒
レベル:6
SP:2
スキル
魔力:レベル2
氷魔法:レベル1
薬調合:レベル1
+注意+
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