第34話 1人2役
奥さん、事件発生です。
今度は本当です。
ある日の早朝、俺はニニと一緒に仲良く聖樹草茶を作っていた。
ニニは今日も可愛い。
今日のニニの法衣の種類は…違うそこじゃない。
午前中はニニとの楽しいお話タイムなのに、ニニの仕事部屋に王子がやってきた。
精神安定剤を求めて彷徨っていたようだ。
ニニは部屋に入ってきた王子にビックリしていた。
王子と面識がないわけではないのだが…俺を持つことで話すことが出来るようになった王子とはまだ会っていない。
つまり、ニニからすれば「喋らない王子」のままなのだ。
そんな喋らない王子が、部屋に入ってくるなり…顔を真っ赤にしながらニニに何かを話しかけた。
おお…話したよ、俺持たないで。
やっぱりスキル取ってあげると、俺を持たなくてもその才能?が使えるようになるんだな。
まだ脱人見知りスキルを取って日が浅いからちゃんと話せてないけど、徐々に解消されていくだろう。
ニニは顔を真っ赤にして小声で震えながら話しかけてくる王子に優しい笑顔で答えてあげる。
ニニの言葉を聞いている王子の顔は赤いままだ…赤いままなのだが…瞳に宿った思いが問題だ。
ん…おっほん!…ラインハルト王子や…いま君…ニニに恋したな?
ニニの話が終わる。
すぐに終わったよ。
たぶん王子からの質問に対する答えだったんだろう。
ニニの話が終わっても、ぼ~っとニニを見つめる王子。
黙って見つめてくる王子を、きょとんとしながら見ているニニ。
王子は自分がニニに見惚れていることに気付くと、慌てたように部屋を出ていった。
その様子をまたきょとんとしながら見ているニニでした。
(っということがあったのよ。大ちゃん)
俺は少年の淡い恋心を即報告していた。
なぜなら俺にとっても大問題だからだ。
(ニニの父親として、簡単にニニを王子にあげるつもりはないからね!)
(う~ん、でも私としてはニニがラインハルトちゃんと結ばれてくれたら嬉しいけどね~。だって未来の王様の恋人ってことは…妃だよ? もう幸せ確定じゃない)
(嘘つけ!妃は幸せ確定じゃない!ドロドロの権力争いに振り回されて不幸な人生を歩んだ妃なんて星の数ほどいるだろ!)
(ばれたか~)
白馬の王子様なんて言葉があるけど、それは本当に夢だ。
白馬の王子様が存在しないとは言わない。
ただ、その王子様と結ばれても待っているが幸せとは限らないのだ。
恋は盲目だ。
燃え上がる2人にとって、2人だけが全ての世界となる。
2人が愛し合い、2人で頑張れば全てが幸せになる。
2人が愛し合い、2人で頑張れば全てが良いことになる。
恋だけならそうだろう。
だが、恋から結ばれ愛情を育むのはちょっと違う。
2人だけの世界でいたいなら、一生恋人でいるべきだ。
(いっちゃんの心配も分かるけどラインハルトちゃんなら大丈夫よ~。なんたって私の自慢の息子だもの!)
それが一番の心配だよ。
(それに…女王としてもその展開は好ましいのよね)
大ちゃんの言葉がマジモードになった。
(ラインハルトちゃんには大穴を塞いでもらうわ。3個目の大穴を塞ぐことが出来れば、当然大穴の発生も、そしてそれを塞ぐことが出来たことも公表する。ラインハルトちゃんは英雄となる。そしてその英雄と結ばれたのは、あの「祝福のクリスティーナ」の娘ニニ。英雄が大穴を塞ぐことが出来たのはニニが受けた聖樹の祝福…つまりいっちゃんをニニから英雄が受け取ったから…素敵な物語の出来あがりでしょ?)
(人々は大喜びってわけか)
(それも大事だけど…じじぃ共を黙らせるにも効果的なのよね)
大ちゃんはじじぃ…賢老会というらしいのだが、その人達が大嫌いなのである。
(でもでも!ニニは俺の娘なんだ!俺の大事な娘なんだ!)
訳のわからないことを言う俺を見る大ちゃんの顔は優しかった。
(ま~後は若い2人に任せようよ。もし結ばれたら、ちゃんとニニとバージンロード歩かせてあげるから…ニニと手を繋いでさ(手に持たれてとも言うけど))
王子の成長は目覚ましいものとなった。
誰かに質問出来るようになり、成長速度が上がったこともあるが…やはり一番ニニだろう。
あの、ニニに惚れた日。
大ちゃんは、ミリアを通じてニニの好きなタイプは「世界最強の剣士」と王子に伝えたらしい。
次の日から剣術稽古に打ち込む王子の顔は、真剣そのものに見えた。
…俺には欲望の塊に見えたけどな!
でも欲望が人を成長させるための、最大のエネルギーなのは間違いない。
王子はどんどん強くなっていった。
チートでレベル10までになってSPが3余っていたのだが、スキルを取ってこうなった。
ステータス
炎闘気を纏う剣士の木の棒
状態:お話出来る優しい王子の炎闘気を纏う剣士の木の棒
レベル:10
SP:0
スキル
闘気:レベル2
魔力:レベル2
属性:レベル1
剣術:レベル2
身体強化:レベル1
炎魔法:レベル1
脱人見知り:レベル1
炎魔法を取った。
接近戦だけ考えるなら、属性スキルか身体強化をレベル2にするべきだったと思う。
ただ、試してみたいことがあったのだ。
魔力レベル2あるので、俺は王子に干渉出来る。
王子が剣術で戦っている時に…俺が干渉して炎魔法を発動出来ないかということだ。
これが成功すれば、俺も戦力として貢献出来る!
1人で2人分…剣士と魔法使いの戦力となる。
結果は…出来た。
王子が剣術で戦い、俺が魔法を使う。
出来たのだが…王子の負担が半端ないらしい。
魔力切れは起きない。
俺が無限魔力供給してるんだから。
負担は精神的な負担だ。
身体強化を使い、高速で動きながら切り合っているのに、いきなり自分の身体に魔力が干渉してきて炎魔法が出る。
炎魔法が出るときに王子にそのイメージが伝わるのだが、そのイメージを王子に受け入れてもらって、王子にもイメージしてもらう必要がある。
王子が炎魔法のイメージを完全に無視しても、魔法は発動するのだが威力が弱い。
これは最初の謁見の時に、俺がおっさん騎士をニニに干渉して勝手に凍らせようとした時と一緒だ。
持ち主とイメージが合っていないと効果がいきなり落ちるのだ。
いつ干渉してくるのか分からない炎魔法をイメージしながら、高速で切り合う…大変だな。
魔力スキルのレベルが上がれば…もうちょっと上手く王子に干渉できるのか?
ステータス
炎闘気を纏う剣士の木の棒
状態:お話出来る優しい王子の炎闘気を纏う剣士の木の棒
レベル:10
SP:0
スキル
闘気:レベル2
魔力:レベル2
属性:レベル1
剣術:レベル2
身体強化:レベル1
炎魔法:レベル1
脱人見知り:レベル1
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