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伝説の木の棒 前編 作者:木の棒

第3章 怪しい女王と聖女

第29話 聖女の願い:前編

 聖女マリア。
 人々は私のことをそう呼びます。
 大罪の日から失われた魔法。
 私は研究によって、聖属性魔法の取得に成功しました。

 私の聖属性魔法によって管理しきれていなかった中穴3個を塞ぐことに成功。
 私は聖女となりました。

 幼馴染にして女王であるティア様。
 ティア様の様々な発明によって、この10年での技術進歩は100年分に値すると言われています。
 特に、ティア様はお風呂とトイレの技術開発に並々ならぬ情熱を注がれました。
 その恩恵は城に住む者達だけではなく、全ての人達へと与えられ、ティア様は人々から確かな信頼を勝ち取ったのです。

 尊敬するティア様は先日…例の聖樹から神託をお受けになられました。
 やはり聖樹には意志が存在していたのです。
 意志が存在するならば…聖樹様とお呼びした方が良いのかもしれません。

 神託をお受けになったティア様に、私の尊敬の念はさらに深まりました。
 そしてティア様は…光栄にも私を聖樹の持ち手の1人に選んで下さったのです。

 ニニが作ってくれた聖樹草のお茶で、難病に犯されていた私の子供は救われました。
 それだけで私は聖樹様とニニに感謝しきれないほどの感謝の気持ちを頂いていたのですが…さらに私自身が聖樹様の持ち手になれるなんて…夢のような出来事でした。

 ティア様曰く、聖樹の持ち手は私以外に、ニニと王子のラインハルト様の3名だけのようです。
 ティア様は神託を受けるだけで持ち手にはなれないそうです。

 ティア様曰く、聖樹様は持ち手と新たな経験を共有することで、持ち手の才能や能力を高めてくれる祝福を下さるそうです。
 持ち手に選ばれた時点で祝福は1つ受けられるとか。

 ラインハルト様は瞬く間に祝福を受けていきました。
 祝福の数は7つだそうです。
 ニニは5つの祝福があるとか。
 それなのに…私は未だに1つしか祝福を受けることが出来ません。
 1つの祝福…つまり私は聖樹様が最初に下さる祝福しか受けられていないということです。

 私は自分に失望しました。
 ティア様の期待に応えられないこと…そして聖樹様に報いることが出来ないこと。

 私は悩みました。
 どうしたら聖樹様と新たな経験を共有して祝福を受けることが出来るのか。
 新たな経験ということで、私は慣れない城壁の修理を聖樹様を持ちながらやってみました。
 でも祝福を受けることは出来ませんでした。

 私は泣きました。
 独りで泣きました。
 泣いて腫れた目をしていたのでしょう。
 ティア様にどうしたのかと聞かれてしまいました。

 私は正直に応えました。
 祝福を受けることが出来ない…私は聖樹様の持ち手として相応しくないのではないかと。

 そんな私をティア様は優しく慰めて下さいました。
 そして聖樹様から神託を受けてみると仰って下さったのです。



 (という訳なのよ、いっちゃん)

 大ちゃんの部屋で巨星に挟んでもらいながら、マリアのことを話す俺達。

 (う~ん、難しいね。レベルアップの条件が分からない以上、アドバイスの仕様が無いし)

 (そうなんだよね…それに本音は、マリアはレベル1でいいんだよね。大穴を塞ぐ時の戦いでも、いっちゃんを持てる人は1人なわけじゃん? 持ち主登録をいくら増やしたって、いっちゃんを同時に使えるわけじゃないんだし)

 (あ~確かにな…大ちゃんは誰に俺を持たせて戦わせるつもりなの?)

 (ラインハルトちゃんだよ)

 どうやら戦場に向かうのは王子で確定しているようだ。

 (大穴の境界線まで行けたら、マリアが聖属性魔法で穴を塞ぐ時だけいっちゃん持ってくれれば魔力供給は出来るんだしね。マリアがいっちゃん持って聖属性魔法使った時に、どんなに魔力を使おうとしても、いっちゃんから魔力が流れてきて全然疲れないって言ってたもん。それで十分だよ)

 大ちゃんも欲を言えば、マリアのレベルが3になって、魔力レベル2の聖属性魔法というスキル構成にしたかったと思う。
 この構成なら、俺が魔力でマリアに干渉して聖属性魔法使えるからな。
 魔力レベル1だと、あくまでも聖属性魔法を使うのはマリアだから、魔力供給で威力は信じられないぐらい高まるけど、細かい調整とか魔法の質とかはマリア次第なんだよね。

 (でもマリアの落ち込み具合もすごいんだよね…どうにかしてあげないと)

 (う~~~ん)

 俺達二人は悩んだ。
 マリアは今でも十分な実力だ。
 でも祝福を受けられないと落ち込んでも困る。
 俺は良いアイデアが浮かばないでいたのだが…突然大ちゃんが閃いた。


 (そうだ!新たな経験だよね?!…マリアのレベルが上がるかもしれないし、いっちゃんにも嬉しい出来事が起きるナイスなアイデアを思い付いちゃったよ!)



 大ちゃんのアイデアは素晴らしかった。
 後世、人々が大ちゃんをどんな女王だと評するのか、俺には分からない。
 分からないが…俺にとって大ちゃんは「賢王」である。




ステータス

1.空飛ぶ少女
すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒
状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒
レベル:5
SP:1
スキル
魔力:レベル2
氷魔法:レベル1
薬調合:レベル1

2.怪しい女王
以心伝心な木の棒
状態:怪しい女王の以心伝心な木の棒
レベル:1
SP:0
スキル
日本語

3.聖女
魔力通な木の棒
状態:聖女の魔力通な木の棒
レベル:1
SP:0
スキル
魔力:レベル1

4.優しい王子
超闘う木の棒
状態:優しい王子の超闘う木の棒
レベル:7
SP:3
スキル
闘気:レベル1
属性:レベル1
剣術:レベル1
身体強化:レベル1
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