第24話 女王様
女王様の木の棒になった俺です、こんにちは。
念願のボインボインな女性持ち主様ですよ!
いや~テンションあがっちゃうな~!
これからどんな素敵な出来事が待っているのでしょうか!
…なんて空元気を出そうとしてもダメだ。
俺のテンションは最悪です。
俺の持ち主はニニなんです。
俺はニニが良かったんです。
ニニと一緒に郵便屋さんをして、幸せに過ごしたかったんです。
女子会が終わり、いつものように女王の部屋に連れてこられる俺。
豪華なテーブルに置かれてステータス画面を見る。
ステータス
木の棒
状態:怪しい女王の木の棒
レベル:1
SP:1
スキル:無し
涙が出そうになった。
涙を我慢しながら、取得可能スキルと念じる。
日本語
…ん?涙でよく見えないな…あれ…ちょっと誰かハンカチ貸してください。
日本語
…マジかよ。
スキルに日本語って…。
しかも、基本3セットが表示されないぞ!
これは…女王が転生者だからか?
他の人間達とは違う何かがあるってことか。
「日本語スキルを取得しました。」
日本語スキルを取得したけど、スキルの使い方が自然と分かるということは無かった。
持ち主依存スキルだとすれば、女王が日本語を使うってことなのか?
とりあえず、女王に持ってもらわないと何も分からないな。
女王はメイド達が用意した紅茶を優雅に飲んでいる。
たぶん女性神官を待っているんだな。
女子会の後、あの女性神官はほぼ必ず女王の部屋にやってくる。
そして、何か秘密の会議をするのだ!
案の定、女性神官がやってきた。
メイド達は全員部屋を出ていく。
二人きりでまた秘密の会議だ。
女王が俺を持つ…触れる瞬間を待った。
そしてそれは女性神官との会議中に起こった。
女王が俺を持ったのだ。
俺をまじまじと見て何か調べるように。
俺はその瞬間…日本語スキル!と念じてみた。
…何も起こらない。
女王に変化はない。
どうすればいいんだ。
とりあえず、俺は女王の谷間を見ながら…。
(巨乳だな…いや爆乳ってやつか)
女王の胸をなんと名づけるかという、大事なことを思った瞬間…俺は床に落ちた。
女王が驚いて、俺を手放したのだ。
俺はテーブルのティーカップを倒して、そのまま転がるように床に落ちた。
女王の突然の行動に驚く女性神官。
女性神官の声に反応して、すぐにメイド達や女性騎士が部屋に入ってくる。
何事ですか!って言って入ってきたに違いない。
そんな中…女王だけは俺を見つめて、他の者達の声なんて聞こえてないようだ。
女性神官が女王の傍までやってきて…ようやく声を出す女王。
女王は一息つくと、メイド達に指示をだす。
こぼれた紅茶やティーカップが片づけられていく。
女王は女性騎士達に何でもないと言ったのか、女性騎士達は部屋を出ていった。
そして、女性神官に対しても何か言うと…女性神官は女王を真剣な目で見つめた後…部屋を出て行った。
片付けの終わったメイド達も部屋を出ていくように指示をしている女王。
こうして…部屋には女王と、メイドに拾われてテーブルに置かれた俺だけになった。
テーブルに置かれた俺を見つめる女王。
そして…そっと俺に触れる。
ちょんちょんと…最初は突くように…そして意を決して俺を握る。
(俺の声が聞こえるようになったのか?)
俺は女王に話しかけるように言ってみた。
(聞こえております…私に話しかけていらっしゃる貴方様は…聖樹の意志でしょうか?)
(聖樹の意志? それが何なのか知らないけど違うと思うよ。 俺は貴方と同類だよ)
(同類?)
(ああ…俺は転生者だ。俺は日本の東京に住んでいた木野樹聖という者だ)
俺の言葉を聞いた女王は、今までで一番驚いた表情を見せる。
(転生者…それで日本語…でもどうして私が転生者だと分かったのですか?)
(俺をこの部屋に連れてきた初日…女性神官と何か話した後にこの部屋を出る前に…貴方が日本語で呟いたのを聞いたからですよ。それで転生者だって推測していたのですが…転生者なんですよね?)
(はい…私は転生者です。私も日本の東京に住んでいました。名前は宮代大輔です)
(やっぱり転生者か…ん? 宮代…大輔?)
嫌な予感しかなかった。
(あ、私…っていうか俺、今は女性だけど、転生前は42歳の運送屋のおっちゃんだったんだよね~)
俺の中で何かが崩れていった…。
ステータス
以心伝心な木の棒
状態:怪しい女王の以心伝心な木の棒
レベル:1
SP:0
スキル
日本語
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