第18話 大冒険
ピンチです。
氷魔法取得したのに、氷魔法使えませんでした…俺涙目。
追手はさらに近づいてきている。
光の玉を出したら自分の位置を知らせることになるから、ニニは暗闇の中を逃げている。
追手の方が早い。
むむ~~!凍らせろ!凍らせろ!!!!
っと念じても何も起きない。
なぜだろう…もしかして…ニニに使ってもらう必要があるのか?
きっとそうだ!
忘れていた…俺はただの木の棒なんだ!道具なんだ!
基本3セットの闘気を飛ばしたことがあるから、俺が魔法を使えると思ってしまっていたのか。
基本3セット以外の持ち主依存のスキルは、当然に持ち主が使うのではないか?!
俺はニニに魔力を流してみる…氷魔法使えるよ!と念じながら。
その瞬間、ニニの足が止まる。
俺を見つめながら呆然とするニニ。
そしてコクリと頷いて…俺を杖のように追手の方にかざす…ニニから俺に魔力が流れる…それに呼応するように、俺の魔力が高まる!!!!
うお!出るよこれ!出ちゃうよ!氷魔法!!!!
次の瞬間…追手の足元だけではなく、目の前の大地そのものが凍っていた。
強力過ぎるだろこれ…。
追手の人達は膝当たりまで凍っているようだ。
驚いて声も出ないのか、呆然としている。
そしてニニも呆然としている。
目の前の光景が信じられないようだ。
でもいまは逃げないと!ニニ動いて!足を動かすんだ!
俺は魔力をニニに流して意識を戻させる。
ニニも気づいてくれて、すぐに走り出した。
追手から逃げるように走り出したのはいいが、ここがどこなのか…ニニは分かっているんだろうか?
追手から逃げるために、灯りもないまま森の中を彷徨ったからな。
やっぱり俺で飛ぶべきじゃないのか?
俺は飛ぼうよ!と念じながらニニに魔力を流してみる。
走りながらニニは俺を見つめる。
そして意を決したように立ち止まると…俺に何かを話しかけては、ぎゅ~~っと抱きしめてから俺に跨る。
いやっほ~!俺頑張っちゃうよ!
飛んで森を抜ければいいじゃんと思っていた時が僕にもありました。
ごめんなさいニニ。
上空に飛んだ途端…空飛ぶバイクみたいな物に乗っている追手にすぐに見つかりました。
うひゃ!空にも巡回している人達いたのね!!
ギリギリの高度で飛び逃げるニニ。
森の中で凍っていた人達から情報が入っているのか? 空飛ぶバイク達はすぐにニニを追ってきやがった。
この世界に携帯電話や通信機みたいなものが存在しているのだろうか。
それとも情報を伝えることが出来る便利魔法が存在しているのか。
空飛ぶバイクは速かった。
ニニが振り切れない。
俺が魔力を高めてみても、ニニの速度は上がらない。
空を飛ぶという行為は、ニニ依存なのか?
いや…基本3セットは俺自身が使える力のはずだ。
「魔力スキルを取得しました。」
魔力スキルのレベルを2に高める。
闘気の時だって、レベル4に一気にあげたら闘気を飛ばすなんてことが出来たんだ。
魔力もレベル2になれば俺に出来ることが増えるはず!
魔力スキルがレベル2になった瞬間…俺は自然と理解出来た。
俺が何を出来るのか。
俺は魔力をニニに流す…そしてニニに干渉した。
ニニは飛んで逃げるのに必死だったけど、俺の魔力が流れると俺を見つめる。
そして…すがるように何かを叫ぶ。
空飛ぶバイクを凍らせるわけにはいかない。
この高度で凍って落ちたら多分死ぬだろう。
俺が干渉したのは、ニニの空を飛ぶスキルだ。
そう、スキルだったのだ。
空を飛んでいたのは。
干渉した時に分かったスキル名が「妖精の血」
こ、これも危なかった…俺的にね。
いや、それよりもニニって妖精だったの?
人間じゃないの?!
そんな俺の疑問は今は置いておこう。
ニニの空飛ぶスキルに干渉した俺は、ありったけの魔力を注ぐ。
すると、とんでもないスピードが出て…ニニは俺にしがみついて必死に耐えている。
空飛ぶバイク達はあっという間に見えなくなった。
追手を振り切った俺達は適当な場所に降り立つ。
ニニは深呼吸をして心を落ち着かせる。
ここがどこなのか…それが問題だろう。
落ち着いたニニは何かを詠唱した。
でも何も起きない。
ニニは目をつぶって立っているだけ。
なんだ?
しばらくすると、ニニは笑顔になって方角を指さす。
む?家の方角が分かったのか?
どんな魔法だったのか分からないけど、きっと場所を把握するような魔法だったのだろう。
空飛ぶバイクがいないことを確かめながら、俺達は家に戻ったのでした。
帰ってきたよ!マイホーム!!
いや~今日はかなりの大冒険だったね!
おかげでレベルもこんなに上がりました!
ステータス
ヒヤッと冷たい魔力を操る木の棒
状態:空飛ぶ少女のヒヤッと冷たい魔力を操る木の棒
レベル:4
SP:1
スキル
魔力:レベル2
氷魔法:レベル1
あれだけの大冒険だったのにレベルは1つしか上がっていなかった…。
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