事件:死亡2男性から青酸…連続変死か 周辺に60代女性

毎日新聞 2014年07月29日 02時30分

 2012年にバイクで転倒した後に死亡が確認された大阪府貝塚市の男性(当時71歳)の血液から、青酸系の物質が検出されたことが捜査関係者への取材で分かった。毒性が強い青酸化合物の摂取が疑われるという。男性と知り合いの60代女性の夫(当時75歳)も昨年末、青酸化合物による中毒で変死したとされる。警察当局は2人が事件に巻き込まれた可能性があるとみて、女性の周辺や2人の交遊関係を慎重に捜査している。

 捜査関係者によると、男性は12年3月9日午後5時ごろ、自宅から約2キロ離れた大阪府泉佐野市の府道をバイクで走行中に転倒し、搬送先の病院で死亡が確認された。目撃情報はなく、現場の状況などから男性が単独で転んだとされた。

 当時の司法解剖の結果では、男性の死因は心臓発作による突発性の心停止と判断されていた。

 一方、男性の知人女性の夫は昨年12月28日夜、京都府向日市の自宅で倒れて、病院で死亡が確認された。京都府警の司法解剖で遺体から青酸化合物が検出され、中毒死とみられている。

 女性は数カ月前に夫と結婚したばかりで、夫が倒れた時も自宅にいた。青酸化合物については、身に覚えがない旨を警察に説明したとされている。

 この変死を受けて、警察当局が女性の周辺を捜査する過程で、貝塚市の男性が亡くなるまで女性と親しくしていたことを突き止めた。司法解剖の際に採取された男性の血液が保存されていることが分かり、大阪府警が薬物などを詳しく調べるための鑑定をしたという。警察当局は、同じ女性と接点がある2人の男性の遺体から、青酸系の物質や青酸化合物が検出されたことを重視しており、当時の経緯や2人の交遊関係について詳しく調べている。

 毒性の強い青酸化合物(シアン化合物)は主に工場などで金属製品の加工やメッキに使われている。少量を摂取するだけで頭痛、嘔吐(おうと)などの中毒症状が出て、一定量になると短時間で死亡するとされている。

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