第8話 ゴブリンロード
ゴブルンは本当にゴブリンロードになったようだ。
オークを倒した翌日…自分のステータス画面を見ていた時に気付いた。
ステータス
やる気に満ちた闘う木の棒
状態:ゴブリンロードのやる気に満ちた木の棒
レベル:6
SP:2
スキル
闘気:レベル4
状態の欄がゴブリンの~からゴブリンロードの~に変化していた。
これは俺の持ち主であるゴブルンがゴブリンロードに進化したからだろう。
事実、オークを倒した翌日…目覚めたゴブルンは…かなりマッチョになっていた。
身長は3m級からそれほど変わっていないが、身体つきがマッチョなボディービルダーのような素晴らしい鋼の筋肉になっていた。
そして当然のように…ハーレムも増えていた…。
俺もレベルが上がった。
しかも一気に2つも上がって6!
これでSP2あるので、今度こそ魔力と属性を取ることにした。
ステータス
踊って歌えるスーパースターな木の棒
状態:ゴブリンロードの踊って歌えるスーパースターな木の棒
レベル:6
SP:0
スキル
闘気:レベル4
魔力:レベル1
属性:レベル1
え?俺って踊って歌えるの?
この変化していく名前はいったい何なんだ?
ネーミングセンスもおかしいし…いや、俺の知識に基づいているとか?
これで今日の狩りで魔力と属性についてテストしないといけないな。
いったいどんな効果があるんだろう。
今は床に捨てられて置かれているので、ゴブルンに持ってもらえていない。
つまり唯一の発動条件と思われる、持ち主に持ってもらうという状態でないため、取得した魔力と属性を試すことも出来ないのだ。
狩りの時間までお預けだな。
…おかしい。
……すごくおかしい。
オークとの戦いから3日が経った。
俺は一度も狩りに行っていない。
太腿の裏を負傷したゴブルンが休んでいる…という訳では無い。
ゴブルンはハーレムとの営みを終えるとテントを出ていくのだ。
俺を持たず。
え?どうしちゃったの?ゴブルンさん!
どうして俺を持たずに出ていくの?
村の食料を確保するために、ゴブルンが狩りをしなくてはいけないはずだ。
それなのに、俺を連れていかない?
ゴブリンロードに進化したゴブルンさんなら素手で獲物を倒せるとか?!
理由はすぐに判明した。
やつだ…やつが…俺のご主人様を奪いやがったんだ!
2m級のオークが持っていた大剣。
どうやらゴブルンはその大剣を拾って、自分の武器にしたようだ。
つまりだ…俺は捨てられた。
そりゃ~見た目は大剣の方がかっこいいよ?
だってちゃんとした剣だもん。
木の棒の俺なんかより、剣の方がかっこいいに決まってるじゃない!
でも、今まで共に戦場を駆け抜けた相棒である俺をいきなり捨てるなんて!!
…いや分かっているよ。
ゴブルンにとって、俺はただの木の棒だって。
どこからどう見ても、ただの木の棒だって。
まさか木の棒が闘気なんてスキルを使って自分を助けていたなんて夢にも思わないだろう。
ゴブリンが夢見るか知らないけど。
ゴブルンが大剣を使うようになってから、俺はテントの隅っこにずっと捨てられて置かれたままだ。
村の食料事情が困っているようには思えない。
毎晩のように宴はあるし、ハーレムも順調に増えている。
思うに…ゴブリンロードに進化したゴブルンは本当に強くなったのだろう。
あのムキムキマッチョな筋肉を見れば確かに強そうだ。
それに大剣だって悪い武器じゃないだろうし。
ここら辺の獲物を倒すのに困っているわけでは無さそうだ。
つまり…俺は本当にいらない木の棒ってわけだ。
そんなある日…ゴブルンがやってきた。
何やらテントの中で探し物をしていると…ふと俺と目が合う…目が合ってると思っているのは一方的に俺だけなんだろうけど。
え?!まさか!俺を狩りに連れて行ってくれるの?!
ああ!ゴブルンさん!いや、ゴブルン様!いやいや、ご主人様!!!
もう俺は我儘いいません、痛いなんていいません、闘気もいっぱい飛ばします!
それに魔力や属性という新しいスキルだってあるんですよ!
ご主人様のお役に立てるように毎日精一杯働きます!
だから、俺を置いていかないで!もう大剣なんかに浮気しないで…ってあれ?
俺を手に持ったゴブルンが向かった先は狩りでは無く…隣のテントだった。
中に入ると、ゴブルンの息子が、ゴブルン同じくハーレムを囲って腰を振っている真っ最中だった。
ゴブルンに呼ばれると、ハーレム達から離れて近づいてくるゴブルンジュニア。
そして…俺はゴブルンジュニアに渡されたのであった。
「持ち主が変更されました。ステータスがリセットされます」
ステータス
木の棒
状態:ゴブリンの木の棒
レベル:1
SP:1
スキル:無し
……え?どういうこと?
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