第3話 ゴブリンと一緒に戦おう
「ゴブッ!ゴブッ!」
ゴブリン達の死闘?が始まった!
どうしてこうなったのだろう。
ちゃんと作戦があったんじゃないのか?
あんな巨大な角を持った鹿相手だぞ?
いや、だって相手もやる気満々だし。
こっち見て全然驚いてないし。
むしろ、こっちのことを獲物として見ているし。
いや、割とマジで草食系じゃなくて肉食系じゃないのこいつ?
ゴブリン達は数の優位だけで勝てると思ったのか?
そもそも、そのちょっと尖った石や枝で、この鹿にダメージ与えられるの?
俺だって木の棒だぜ?打撃でダメージ与えられても、斬ったり出来ないよ?
あの巨大な角で突かれたら…ゴブリン達って一撃じゃないのかな。
そんなことを考えていると、尖った石を持ったゴブリンが鹿に飛び掛かった!
っと次の瞬間…その巨大な角がゴブリンのお腹を突き刺していた…。
弱い!ゴブリン弱いよ!
ゴブリンが角に突き刺さっている間に、ゴブルン達は一斉に飛び掛かる。
木の枝を持ったゴブリンが鹿の脚に枝を突き刺す!…が、まったくダメージを与えていない。
そのまま鹿に脚で蹴られて5m以上吹っ飛んでいった。
ゴブルンが鹿の首に木の棒…つまり俺を叩きつける!
い、痛い!!
いてえええええええ!!!!
ちょ、なにこれ!
すんごい痛いの!!
なんていうか、本当に全身にガツンと衝撃が走るというか。
木の棒だから頭とか身体とかの概念が無いのか。
どこに当たっても、全身が痛いというわけね…なんて残念な仕様なの!!
首に木の棒がクリーンヒット?!したのかどうか分からないけど、鹿は「ヒヒン!」と叫んで後退した。
ヒヒンってお前は馬か?!
馬は…いや鹿はゴブルンを睨むと、角に刺さったままのゴブリンをこっちに投げつけてきた。
飛んでくる仲間を受け止め…ないゴブルン。
華麗にさっとかわしやがった!
まぁもう死んでると思うけど、ちょっと可哀相なゴブリン。
木の棒…つまり俺の攻撃が効いたのか、鹿は一定距離を保ってゴブルンと睨み合い。
俺はまだ全身がピリピリする感じがして、もう叩いて欲しくない。
いや、本当に痛いのよ。
俺の身体欠けたりしてない?だって木の棒だよ?
ただの木の棒だよ?そんなに頑丈なわけ無いじゃないですか!
俺は目を移動させながら、自分の身体?…木の棒をあちこち診て欠けた場所がないか探してみた。
ふぅ…どうやらどこも欠けてないようだ。
しかし、ゴブルンがまた俺で叩くとあんなに痛い思いしなくてはいけないのか…。
睨み合うゴブルンと鹿。
先に動いたのはゴブルンだった。
木の棒を力任せに振り回しながら、鹿に近づいていく。
…いや、そこで振り回しても鹿に当たらないからな。
もうちょっと近づいたり、間合いを測ったりして、必殺の一撃!みたいな感じで振ってくれよ。
子供のチャンバラごっこ以下だなこれは。
しかし鹿は鹿で、ゴブルンを恐れて後退していく。
あれ?なんでだ?
よっぽどさっきの一撃が効いているのか?
自分が優勢と勘違い?したゴブルンが勢いよく飛び出す!
木の棒が鹿の角と激突!!
………いってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!
ゴブルン待った!本当に待って!
いてぇ!痛いよ!これシャレにならない!
2度、3度と激突する木の棒と鹿の角。
その度に激痛が俺を襲う。
あの硬そうな鹿の角と激突しているんだから…そりゃ~痛いよ…。
今度こそどこか欠けるんじゃないのか…と心配して自分の身体を見ていると…。
ステータス
木の棒
状態:ゴブリンの木の棒
レベル:1
SP:1
スキル:無し
…な、なんだこれ?!
突然ゲームのようなステータス画面が目の前に表示された。
これは…俺のステータスか?
状態もゴブリンの木の棒だし…ってレベル1なのか。
SPってなんだ?
スキルは無し…SP…スキルポイントか?
ラノベの知識を生かして「スキル」と念じてみる。
すると、ステータス画面の隣にスキル一覧が出てくる。
ものすごい数のスキルだ。
そうか…これで俺は強くなっていくのか!
3度激突した後、ゴブルンと鹿は再び距離を取って睨み合い状態だ。
この間に、俺はスキル一覧から「魔法」を探す。
魔法を使えれば、俺が鹿を倒すことが出来るはずだ!
魔法の欄には様々な魔法が表示されていた。
こういう序盤で役に立つのは「火属性」だな!
俺は「火属性」の魔法を取得しようと念じた。
「火属性魔法の取得に失敗しました。「ゴブリンの木の棒」のため取得出来ません」
しばらく俺は放心状態となった。
ステータス
木の棒
状態:ゴブリンの木の棒
レベル:1
SP:1
スキル:無し
+注意+
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