今でこそ、お台場は都内屈指の「ウオーターフロント」として人気が高いが、もとは広大な埋め立て地だ。1000万都民のゴミ捨て場「夢の島」に近く、過去には汚れた工場排水が海に流れ、異臭を放っていた時期もあった。近年は水質浄化に取り組み、改善されてきたとはいえ、積もり積もった「汚染」を取り除くのは簡単じゃない。
元東京都衛生局職員で、医事ジャーナリストの志村岳氏はこう言う。
「東京湾に流れ出る無数の川には化学物質や農薬など、さまざまな汚染物が混ざっています。お台場近くの内湾には、そうした汚染物がたまり、吹きだまりのようになっていると思う。だから、いくら水質浄化しても改善しないのでしょう。感染症のもとになる大腸菌を軽く見てはいけません。顔をつけて泳がなくても、皮膚感染などの心配もあります」
五輪に向けて「泳げる海」をアピールしたいなら、まずは徹底した水質調査を行うべきだ。