月:内部温度は1300度超 地球の引力で変形し熱
毎日新聞 2014年07月29日 10時16分(最終更新 07月29日 11時13分)
月の中心部が地球の引力によって熱を持ち続けていると、中国地質大の原田雄司研究員(惑星科学)や国立天文台などの国際研究チームが、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版で発表した。月は火山活動を終え、冷めて固まっていると考えられてきたが、内部の温度は1300〜1900度で「今も冷えきっていない生きた星」と分析している。
月は半径約1700キロ。地球の引力のために微妙に変形し続けている。原田研究員らは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」などが測定した月のゆがみと、理論上の変形値との誤差に着目。地下1000キロ強の岩石でできたマントル最深部に軟らかい層が存在し、地球の引力で変形して熱が生じていることを計算で明らかにした。
月の内部は、地震波の研究によって軟らかな部分もある可能性が指摘されていたが、研究チームは特定の層だけに熱が生じる仕組みを初めて特定した。
原田研究員は「地球と月がどう影響を及ぼし合いながら進化してきたかを考える契機になれば」と話している。【千葉紀和】