- [PR]
ライフ
【主張】土用のウナギ 資源と食の文化の永続を
次には河川シラスウナギの漁獲制限と漁獲量の把握が不可欠だ。高値が付くことや夜漁のため、暴力団などによる密漁も行われ、正確な参入資源量が分かっていないのが実態だ。
もっと言えば、日本列島におけるウナギの自然分布さえ判然としていない。東北地方や北陸地方の川や池にウナギがいても、自然の個体か、養殖に由来する個体なのか、簡単には分からない。
ニホンウナギの再生には、基礎調査からの着手が急務である。環境省が大学への委託研究で利根川など7河川での総合調査に乗り出したことを評価したい。
農林水産省も新たに成立した内水面漁業振興法に基づいて養鰻(ようまん)業の実態把握に動き出す。中国からのヨーロッパウナギの輸入で国際社会から後ろ指をさされるようなことをなくすためにも必要だ。
ウナギの減少は約40年前から目立ち始めた。気候変動に伴う海流の変化などの影響もあるだろうが、即応性のある対策は過食の抑制だ。人工の種苗生産が期待されるが、実用化には時を要する。
土用の丑の日には絶滅危惧の重みまでを舌に乗せて考えよう。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]