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福島の生活再建や課題先送り 政府方針伝達

 福島第1原発事故に伴う除染廃棄物などの中間貯蔵施設建設計画で、国は28日、用地の賃貸借を認める方針を表明した。地元の要望を受け入れ、全面国有化の方針を転換した。一方で、地域振興策など生活再建に密接に関わる課題が先送りされたことに地元は強く反発しており、交渉は長期化の様相を呈している。

 会談終了後、佐藤知事は「われわれが求めた課題のうち、土地の問題が示されただけで、ほかの課題に対応できていない。ボールはまだ国の方にある」と述べ、さらに踏み込んだ回答を国に求める考えを示した。
 大熊町の渡辺利綱町長は「賃貸を認めたことで地権者の選択肢が増え、一歩前進と言える。生活支援・地域振興策では大きな溝があるのも事実だ」と不満を漏らした。
 焦点だった交付金額と土地の補償額は提示されなかった。金額をめぐっては、石原伸晃環境相が16回に及ぶ住民説明会終了後の6月中旬、「最後は金目でしょ」と発言。猛反発を浴びて謝罪した経緯がある。
 地元側は不信感を深めていただけに、今回の会談で金額が示されなかったことに対し、さらに反発を強めている。
 双葉町の伊沢史朗町長は「土地の補償額も交付金も具体的な数字が示されなかった。もっと踏み込んだ答えを期待していた。納得できる状況ではない」と厳しい受け止め方をした。
 住民からも批判や注文が相次いだ。施設の候補地に全世帯が入る大熊町小入野地区の根本充春区長(74)は「受け入れ判断後にしか補償額のイメージを示せないというのは矛盾だ」と憤った。
 双葉町行政区長会の石田翼会長(70)は「賃貸借が認められたことは、子孫に土地を残したい人にとって選択の幅が広がる」と一定の評価をする一方、「交付金額の提示が先送りされたのは残念。県と町は使いやすい交付金を支給してもらえるよう国に迫ってほしい」と粘り強い交渉を求めた。

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2014年07月29日火曜日

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