様々な仕事をしていくなかで時々「ビジネスはできるけどクリエイティブじゃないから」といわれることが多々ありました。「どのようにイベントに人を集めるか」「スポンサーを集めるか」というような、お金を集める仕事は創造的でない、と語る人たちにかなりの頻度で出会います。最終回となる今回は、クリエイティブな仕事とは何か、考えてみたいと思います。
小橋賢児(こはしけんじ)
1979年東京都生まれ。88年、8歳で子役としてデビュー。
1996年映画『スワロウテイル』(監督 岩井俊二)やドラマ『ちゅらさん』(2001年)など数々のドラマ・映画に出演。2007年、俳優活動を休業し渡米 。2012年、初の長編映画「DON'T STOP!」で映画監督デビュー。現在はULTRA JAPANのクリエイティブディレクターもつとめる。
■アートとお金は親和性がないのか
僕の役割が俳優のような、人前で表現して社会に伝えることがメーンになることが多いのは確かです。けれど、「お金を稼ぐ」こと=クリエイティブではない、という表現にはどこか違和感がありました。
なかには「絵画」や「映画」のようなアート志向のあるものを発案した人がクリエイティブで、「営業」や「経理」のような「お金に関わる仕事」に携わる人はクリエイティブではないと思っている人もいます。逆にいうと、アートに関わることは金銭と親和性が低い、「金を稼ぐ」ことを度外視している、というイメージです。この考え方は「リタイアしたら陶芸に挑戦したい」というような、「ビジネスとやりたいことや趣味は別」、という考えにもつながっているように思います。
果たしてそうでしょうか。クリエイティブでない仕事なんてあるのかな、と思います。作品を多くの人に見てもらう仕組みを作るために経済的な視点は不可欠です。商品を売ったり、お金を生んだりすることで社会を「変える」役割の一端を担うことは、創造的な仕事だと思います。プロジェクトの責任者を担うようになってから、僕は誰もが「ものを生み出す」創造者であり、経済的視点も創造的視点もバランスが必要だと強く感じるようになりました。
■仕事の選ぶという覚悟
俳優は創造的な仕事、と思われるかもしれません。僕が俳優としてもっともテレビに映っていた頃、事務所からもらう給料に加えた歩合でした。今と比べると、ドラマ1本1本の仕事の対価や意味をあまり深く考えていなかったかもしれません。僕の手元に入ってくる給料は、ドラマ1本あたりの金額ではないからです。
小橋賢児、僕たちはどう働くか
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