国際裁判所 ロ政府に5兆円余支払い命ず7月29日 4時47分
オランダのハーグにある国際裁判所の「常設仲裁裁判所」は、ロシア有数の石油会社だったユコスの破綻を巡ってロシア政府が違法に資産を没収して株主に損害を与えたとして、ロシア政府に対して元株主に日本円で5兆円余りの賠償金を支払うよう命じました。
かつてロシア有数の石油会社だったユコスは、法人税を脱税したとしてプーチン政権から巨額の追徴課税を受けて2006年に破産を宣告され、主要子会社は国営企業の傘下に収められました。
これについてユコスの大株主だったキプロスの企業らが「ロシア政府の違法な資産没収により損害を受けた」としてロシア政府を相手取り、損害賠償の支払いを求めてハーグの常設仲裁裁判所に訴えていたものです。
裁判所は28日までに裁定を言い渡し、「ロシア政府の主たる目的は税金を徴収することではなくユコスを破産させたうえで、その資産を得ることだった」と結論づけました。
そのうえで、こうした行為はエネルギー分野の投資を保護するための国際条約である「エネルギー憲章条約」に違反するとしてロシア政府に対して元株主におよそ500億ドル(日本円で5兆円余り)を支払うよう命じました。
ユコスの破綻を巡ってはプーチン大統領の政敵だったホドルコフスキー元社長を狙った政治的な動機に基づくものだとして欧米から批判されてきましたが、今回の判決はこうした批判に沿ったものとなったため、ロシア政府は、強く反発しています。
これについて、ロシアのラブロフ外相は28日の記者会見で、常設仲裁裁判所の裁定を不服だとしたうえで「ロシアとしては当然、われわれの権益を守るため、あらゆる法的手段を検討する」と述べました。
一方、ユコスの元社長、ホドルコフスキー氏は28日、コメントを発表し、「株主が損失を取り戻す機会を与えられたことは、とても喜ばしい」と述べ、歓迎する意向を示しました。
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