JR東が修繕費負担を表明 山田線
東日本大震災で被災し運休中のJR山田線(宮古−釜石間、55.4キロ)について、JR東日本は28日、三陸鉄道(宮古市)に運行を移管した場合、被災していない区間の設備強化や修繕に掛かる費用を負担する考えを明らかにした。同日、山田線であった岩手県や三鉄、国土交通省東北運輸局による現地調査で提案した。
JRによると、被災を免れた区間は全体の約8割の46キロ。提案内容は、その区間を含め旧型のレール約8キロ分を、三鉄が既存路線で使っている高強度の新型に交換する。新型レールの割合は全体の91%とする。
急カーブの地点では、枕木を木製からコンクリート製に替える。橋やトンネル数十カ所も修繕する。費用は非公表。
県や三鉄によると、昭和10年代に整備された山田線は三鉄と比べ品質が劣り、老朽化も激しい。JRは現状復旧費140億円を負担する方針を示していたが、津波被害のない区間の強化や修繕には触れておらず、三鉄が移管後の維持費を懸念していた。
三鉄の望月正彦社長は「大変ありがたい提案」と歓迎した。県政策地域部の斎藤淳夫部長は「現状よりグレードが上がる点は認めるが、それでどうこう言うのはまだ早い」と慎重姿勢を示した。
現地調査では、JR釜石駅など4カ所の現状を確認。今後数回実施し、移管の検討材料とする。県は赤字補填(ほてん)額や設備保有者などについてもJRと協議を進めている。
2014年07月29日火曜日