ミニレポート
望遠マクロという死角がなくなった結果
(ソニーサイバーショットRX100 III)
Reported by 本誌:折本幸治(2014/7/29 08:00)
20代の頃、メールのやりとりが仕事の大半を占めることになるとは予想できなかった折本(44)です。当時の上司からは「メールは心が伝わらない」といわれたものですが、もはや数が多すぎて、心を込めてもらうと返すときに若干こちらが困惑する状況。それでも、気遣いが感じられるメールをもらうと、ついうれしくなるものです。特に女性からのメールだと。私も愚痴を言ってないでメール仕事がんばります。
RX100からRX100 IIを経て、RX100 IIIになっての最大の進化は何でしょう。異論はあるかもしれませんが、自分にとってそれは、「望遠端での最短撮影距離が短くなった」ことに尽きます。いわゆる望遠マクロに強くなった点です。
そもそもRX100シリーズは、広角端での最短距離は短いものの、ちょっとズームさせるとすぐにピントが合わない仕様。ズームレンズを搭載したコンパクトデジカメに良くあることですので、こればかりは仕方がないと諦めていたのですが……。望遠端でピントを合わせるには、被写体から55cmも離れる必要があったのです。
それがRX100 IIIでは、望遠端で30cmまで寄れるようになりました。つまり、撮影の自由度が増したということ。たった25cmですが、この差は大きいです。
日常の記録撮影で特に制約が緩くなったのは、ずばり食事の撮影ではないでしょうか。余分なものを画面外に排除するため、席から立つ必要なく画角を調整できるからです。
例えばこれまでならお皿の外まで写していたのが、RX100 IIIだと、料理だけを撮影できるようになったのです。かつての苦労は、こういう記事にも現れていて苦笑しきりです。
望遠側で撮ると、広角特有のパースが発生しないのもうれしい点です。iPhoneを含めスマートフォンのカメラが広角化している現在、望遠マクロはSNSメシ写真における差別化に、うってつけの機能だと思うのですが、いかがでしょう。
さらにRX100 IIIは、望遠側での開放F値が明るくなりました。焦点距離こそRX100やRX100 IIから短くなっていますが(100mm相当→70mm相当)、開放F値はF4.9からF2.8に、そして被写体に寄れてレンズが明るいということは、つまりボケも大きくなるということです。いわゆる玉ボケを取り入れた作画なども、積極的に楽しめるようになったのです。
ボケといえばもうひとつ、RX100 IIIからはNDフィルターが内蔵されています。つまり、日中でもボケを生かした撮影が楽しめるわけです(まだちゃんと試してませんが)。
このところメインの持ち歩きカメラとして使っていますが、RX100 IIIの作画範囲はかなり広がっている印象です。弱点はもうないのか、というぐらいの完璧超人なのです。
同業の編集者に「何を買えばいい?」と聞かれても、以前なら「望遠マクロが……」と言葉を濁すこともありましたが、いまなら自信を持ってコイツをお勧めしています。「なるべく小さくてかっこよく、しかも画質と汎用性の高いカメラ」を探している人には、うってつけではないでしょうか。
その分、そつのない優等生ぶりが鼻につき、カメラとしての可愛げが足りないようにも感じられますが、それは自分のようなひねくれ者による無い物ねだりなのでしょう。
ただし一点、今まで通りボディーの塗装が剥げやすいので注意して!(自分も含めて)
おまけ
6月27日・28日・29日の3日間、ベトナムのホーチミンシティにいました。実質、これがRX100 IIIのデビュー戦です。
で、とにかく死角がないのです。広角端は28mm相当から24mm相当となり、いままで妥協していた引きのとれない場所での大きな建物や、室内での記念撮影がばっちり。望遠側でも明るいレンズのおかげで、夜間の撮影も以前より多彩な構図にチャレンジできました。
あくまでも個人の使い方によるものですが、望遠端の焦点距離が短くなったのは問題になりませんでした。それよりも広角端での24mm相当や、望遠マクロが大活躍。もともと旅行向きのカメラという評価でしたが、よりその性格が強まった印象を受けました。
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