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科学
研究進む「ウナギ完全養殖」最前線 世界初「受精卵→成魚」技術、飼育法などになお課題
2014.7.28 15:00
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ニホンウナギが6月、国際自然保護連合の絶滅危惧種に指定された。保護機運の高まりで国際取引が規制されると、うな丼が食べられなくなるかもしれない。そんな事態を避けるため期待が高まっているのが、天然資源に頼らない完全養殖によるウナギの量産だ。29日の土用の丑の日を前に、研究の最前線を探った。(伊藤壽一郎)
稚魚は激減
「天然資源を守りながら将来にわたってウナギを安定供給するため、一刻も早く実用的な完全養殖の方法を確立したい」。水産総合研究センター増養殖研究所(三重県南伊勢町)の田中秀樹ウナギ量産研究グループ長は、情熱を込めてこう語る。
通常のウナギ養殖は、シラスウナギと呼ばれる体長5センチ前後の稚魚を沿岸で捕らえ、成魚に育てる。稚魚の年間採捕量は1960年代に100トンを超えていたが、2012年はわずか2トンで国内需要の約1割にまで激減した。残りは中国などからの輸入に頼っており、国際取引が規制されると大打撃は確実だ。
完全養殖は受精卵を成魚に育て、採卵して人工授精し、再び成魚にする循環型の技術。ウナギでは田中氏らのチームが10年に世界で初めて成功し、日本の食文化の危機を救う画期的な研究として脚光を浴びた。だが、田中氏は「解決すべき課題が多く、実用化には時間がかかる」と慎重に話す。
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