自衛隊の戦闘服などを製造しているユニチカグループが、染めの工程を手掛ける子会社「大阪染工」(大阪府島本町)の工場を初めて報道関係者に公開した。赤外線による探知を難しくする加工など日本の繊維産業が誇る先端技術が注ぎ込まれており、熟練の職人たちが国を守る自衛隊員の活動を支えていることが分かった。(栗井裕美子)
陸上自衛隊が使用している戦闘服=大阪府島本町の大阪染工
戦闘服は、周囲の目を欺く目的から高度な技術が必要となり、国内では3社しか製造できない。ユニチカグループは年1万5千〜2万着を供給しており、防衛省が求める基準より高い合格ラインを自主的に設定。工場が公開された今月23日、石井寛・捺染(なせん)工務部長は「すべての球をストライク(合格)にする」との意気込みで職人たちは作っていると語った。
生地には、耐火性に優れた「難燃ビニロン」という素材を配合しており、摩擦や汗に強い染料「スレン」を使用している。いずれも変色しやすい特性があるため、でき映えが最後まで分からないのが難点という。
1色でも難しい染めは緑色に染めた生地の上に、さらに3色の迷彩柄をプリントする。赤外線カメラでも判別しにくくするため染料の光の反射率に細心の注意を払う。
反射率は、生地の産地や製造時の天気で変わるなど不確定要素は尽きない。それでもユニチカグループが手掛けた生地の合格率は98%を誇る。工程ごとに検査し、経験則から独自に編み出した数値と照合しながら慎重に作業を進めるからだ。
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