[PR]

 働き手全体の賃金底上げにつながる最低賃金(全国平均で時給764円)をどれだけ引き上げるか、厚生労働省の小委員会が28日、目安額の最終調整に入った。雇用環境の改善で昨年実績の15円増を上回り、全国平均で780円前後になる可能性がある。消費増税や物価高で家計の負担は増し、さらに上積みされるかが焦点だ。

 28日午前、労使代表らでつくる厚労省の中央最低賃金審議会の小委員会が都内で始まった。大幅な増額を求める労組側に対し、中小企業の経営への影響を懸念する経営側との綱引きが続き、議論は29日未明にもつれ込んだ。いったん打ち切り、同日午後に再開する。

 各都道府県は、物価や所得などの経済指標をもとにA~Dの4段階に分けられ、29日に各ランクごとの引き上げ目安が決まる。これをもとに各地の審議会で議論し、各県の労働局長が金額を決定し、10月にも新たな金額が適用される。

 現在最低なのは島根や熊本、沖縄など9県の664円。最高の東京の869円とは205円の差がある。都市部と地方の格差がどこまで縮まるのかも課題だ。