中間貯蔵施設:地上権提案…福島県へ政府、交付金額示さず
毎日新聞 2014年07月28日 21時49分(最終更新 07月29日 08時26分)
東京電力福島第1原発事故に伴い福島県内の除染で生じた汚染土などを最長30年間保管する中間貯蔵施設について、政府は28日、建設用地を買い取って全面的に国有化する従来の方針を改め、土地の所有権を地権者に残したまま建物などを使用できる「地上権」の設定も認めることを福島県側に伝えた。一方、最大の焦点となっている生活再建や地域振興を支援する交付金額は示さず、調整を続ける。
この日、石原伸晃環境相と根本匠復興相が東京都内で佐藤雄平福島県知事と建設候補地の同県大熊、双葉両町の町長と面会して提案した。政府は約16平方キロの用地全てを国有化する方針だったが、5〜6月に開いた住民説明会で「先祖伝来の土地を手放したくない」などの反発が出た。このため、希望する地権者には30年間を期限として地上権を設定して所有権を残し、国が土地を利用する方法を取り入れることにした。交渉の際、住民に売却か地上権設定かを選んでもらう。
また、住民の要望を受け、土地売却後も住民票をそのままにしておけるとした。中間貯蔵施設の整備と稼働に関する協定を政府と県と町で締結し、安全の確保を具体化することも示した。一方、地元が受け入れの条件としている交付金額については、国と県側の隔たりが大きく、「(地元の)受け入れ判断時期までに協議する」として提示を見送った。
石原環境相は「現時点で最大限の配慮をした」と理解を求めた。これに対し、佐藤知事は、地上権や住民票についての提案には一定の理解を示したが、「(交付金の額などは)具体的な内容が示されていない」と不満を述べた。【渡辺諒】