ドラキラー・大竹、7勝!「課題の3巡目」クリア、10戦ぶり7回で1失点
◆中日1―2巨人(27日・ナゴヤドーム)
ハプニングにも動じず、大竹は満面の笑みを浮かべた。中日打線を相手に7回3安打1失点で7勝目。ヒーローインタビューに指名された。だが、インタビュアーが来ない。三塁ベンチ前で待つこと2、3分。球団広報にファンへのあいさつを促され、一人でマイクを握り「え~、大竹です」と始めた。直後にアナウンサーが到着。マイクを奪い取られ「来ないかと思いましたよ!」とツッコミを入れた。ナゴヤドームが笑いに包まれた。
試合中はそんなほのぼのムードとはほど遠かった。初回、失策と2四球で2死満塁のピンチ。三塁からマウンドへ助言に来た井端の言葉を、胸に刻んだ。「丁寧に投げすぎなんじゃないか。初回なんだから思い切っていこう」。藤井を外角シュートで空振り三振に斬り、波に乗った。「声をかけていただき、切り替えられました」と感謝した。
壁も越えた。今季、7回を投げたのは2度だけだった。5回には1―0から大島の犠飛で追いつかれ、なお2死三塁。荒木に3ボールと不利なカウントにしたが、動じなかった。8球目、内角を突くボールで見逃し三振に斬った。最速146キロの直球を武器に課題の3巡目をクリア。10戦ぶりに7回を投げきった。
過去8試合でわずか1勝。前半戦では6勝(4敗)を挙げたが、防御率4点台。後半戦は先発6番手で開幕した。結果が出なければ、ローテの座が危うくなる可能性もあった。中15日と間隔は空いたが、G球場でたっぷり走り込んだ。食生活の充実も大きかった。「遠征先だとつい好きなものばかり頼んでしまう。家だとおひたしとか、野菜から順番にご飯をゆっくり食べる。それで十分なんです」。杏里夫人(31)の手料理で、夏バテとは無縁だ。
中日戦はこれで5戦4勝。原監督も「変化球に頼らずに、速い球で攻めていた。躍動感があったし、攻撃的な投球という点においては、一番よかったと思う」とたたえた。「7回は最低限。これからもチームの力になりたい」。自信を取り戻したFA戦士が、後半戦で巻き返す。(岸 慎也)