ウナギ:売り上げ一部寄付 業者の保護活動広がる

毎日新聞 2014年07月28日 20時51分(最終更新 07月28日 22時23分)

 29日は土用の丑(うし)の日。スーパーの食品売り場でかば焼きなどの販売が活気づいている。今年6月に国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧種に指定したことで将来の供給に不透明感が高まったことが消費者の関心をかきたてた格好で、大手百貨店は「売り上げは前年比2割増」という。小売業界では、売り上げの一部をウナギの保護活動に寄付するキャンペーンが広がっている。

 食品スーパーのマルエツは25〜29日の5日間、かば焼きやうな重などウナギ商品1点につき10円を寄付する活動に取り組んでいる。絶滅危惧種指定を受け、真夏の風物詩であるウナギの食文化を守ろうと、今年初めて企画した。売り場に支援企画の趣旨を説明する看板を出して、利用客に理解を求めている。

 寄付額は200万円が目標で、順調に集まっている。寄付先は、国産ウナギの生産加工で約4割のシェアを誇る鹿児島県の漁業者や生産者でつくる「鹿児島県ウナギ資源増殖対策協議会」。同社は「販売する側からも資源保護のために何かできないか考えた」と話す。放流ウナギの育成や繁殖に関する調査・研究の費用に使われる。

 首都圏などで食品の宅配サービスを実施する「パルシステム生活協同組合連合会」も昨年からウナギ商品1点につき10円の寄付を始めた。7月上旬までに357万円が集まり、前年を上回るペースだ。同組合は「注文増は、ウナギ保護への理解が集まった結果」と分析する。同組合も鹿児島県の団体に支援金を寄付し、ウナギの放流などに役立てる。

 ウナギ以外の食材を使った遊び心ある商品も出ている。大丸浦和パルコ店では、かば焼きそっくりのパンを29日まで販売している。串刺しにしたかば焼き形のパン生地に、甘辛いたれを塗った。また、ウナギの姿に似せた「ウナギエクレア」(29日まで販売)も子どもに人気だ。担当者は「パンやお菓子は絶滅の心配はありません」とアピールしている。【神崎修一、高橋直純】

 ◇専門店、店頭に募金箱

 ニホンウナギが国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定されたのを受け、さいたま市の専門店約20店が「日本のうなぎを育てる会」を結成し、「うなぎ募金」を始めた。店頭に募金箱を置き、天然の稚魚を使わず人工授精で量産する「完全養殖」の技術を研究している独立行政法人・水産総合研究センターに寄付する。

最新写真特集