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 国が定める最低賃金(全国平均で時給764円)をどれだけ上げるかを議論する厚生労働省の審議会小委員会は29日未明、結論が出ず、閉会した。大幅増を求める労働組合側と、引き上げに慎重な経営側の溝が埋まらず、結論が持ち越される異例の展開となっている。29日午後2時から議論を再開する。

 最低賃金の目安額を決める小委員会は28日午前から始まり、昨年実績の全国平均15円以上の大幅アップをめぐり、議論は15時間以上に及んだ。審議再開で決着すれば、田村憲久・厚労相に答申される。

 働き手全体の待遇底上げにつながる最低賃金は、労使代表らでつくる審議会の議論をもとに、毎秋、47都道府県の労働局長が各地ごとに金額を決める。いまは最高の東京が時給869円、最低の熊本や宮崎などの9県は664円。最大で205円の開きがあり、絶対水準の底上げと格差の縮小が課題になっている。

 田村厚労相は「昨年並みか、それよりよい成果がでれば」と昨年実績以上の増額をめざす考えを示しており、大幅増が実現するか注目が集まっている。(山本知弘)