(2014年7月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
またこの状況になってしまった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区から打ち込まれるロケット砲に復讐の天使のような反応を示している。片や米国のバラク・オバマ大統領は、イスラエルをとがめたい気持ちと、ハマスの攻撃に報いるような行動は避けたいという思いに引き裂かれている。
こんな対応は成功しない。いずれイスラエルもハマスも停戦に渋々同意し、アラブとイスラエルの対立は静かになりながらも続くのだろう。双方が受けた傷はさらに深まり、わだかまりを残す。オバマ氏はイスラエルの首相に苛立ちを覚えながらも、それを口に出すわけにはいかない。オバマ氏は今、そのような考え方に囚われている。
米国の政策を支えてきた2本の柱
パレスチナ自治区ガザ北部のベイトハヌンで、破壊された建物のがれきの中に立ち尽くす女性〔AFPBB News〕
しかし、機械的に繰り返されてきた感じがする米国の役割は、オバマ政権下で生じた変化を覆い隠している。米国政府はもう何十年もの間、アラブとイスラエルの対立において公正な仲介役である「ふり」をしてきた。
この政策は2本の柱で支えられていた。第1に、イスラエル政府は大抵、パレスチナの国家とイスラエルが平和的に共存する「2国解決」に表面上同意してきた。本気で同意していた時もあった(特に、イツハク・ラビン首相の時代)。
それゆえに、その時々にどんな悲劇が起こっていても、米国は中東唯一の真正な民主主義国への支援をはるかに行いやすかった。
第2に、米国とユダヤ人によるイスラエル支援はほぼ常に強力だった。「ユダヤロビー」の異名を取ることも多い米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)が、伝説的とも言えそうな力を行使していることがその好例だ。唯一の真の例外はジョージ・ブッシュ(父)大統領の時代だった。当時の国務長官だったジェームズ・ベーカー氏は「彼ら(ユダヤ人)はどのみち我々に投票しない」と語っている。
息子のジョージ・W・ブッシュ大統領はその状況を改めるべく最善を尽くしたが、父親の政権はとにかく異例だった。何十年もの間、米国がイスラエルを無条件に支持することは、国際関係の鉄の法則のようなものだった。
オバマ大統領とネタニヤフ首相の不仲
ここに来て、これら2本の柱に亀裂が走りつつある。第1に、オバマ氏によるイスラエルとパレスチナの和平仲介の試みをネタニヤフ氏は阻止した。ヨルダン川西岸への入植地建設を継続することでオバマ氏の最初の取り組みを台無しにした。また、オバマ氏のお膝元のワシントンで開かれたAIPACの会議で講演し、オバマ氏に異議を申し立てて成功した。
オバマ氏は、温かみに欠けると批判されることは時折あるものの、あからさまに人を嫌うと言って批判されることはそう多くない。ネタニヤフ氏は例外だ。米国の大統領とイスラエルの首相の関係がここまで険悪になるのは珍しい。