7年ぶりに全面刷新。小型ディーゼルエンジン搭載で、燃費のよさを見せつけた

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7年ぶりに全面刷新。小型ディーゼルエンジン搭載で、燃費のよさを見せつけた

マツダはコンパクトカーの「デミオ(海外名:Mazda2)」を7年ぶりにフルモデルチェンジし、今秋の日本を皮切りに全世界で販売を開始する。日本での価格は約140万〜約190万円の見込み。国内市場で、競合他社がコンパクトカーのハイブリッド車(HV)や軽自動車で新型車攻勢を掛ける中、マツダの巻き返しを担う期待の新型車だ。

前評判は上々である。2012年からスタートした新しい統一デザインを採用、コンパクトカーながらも、先に発売した「アテンザ」や「アクセラ」といった上級車と通じる、躍動感のある外観となっている。内装もコンパクトカーにしては上質感を持たせた。車体やエンジン、変速機なども全面的に刷新し、走行性能や燃費性能を高めている。

■燃費は1リットル30kmというよさ

特に注目なのが排気量1.5リットルの小型ディーゼルエンジンの搭載車をラインナップすることだ。燃費は軽油1リットル当たり30km程度と、軽自動車やHVを除いたエンジン車では最高水準となる。税金の安い軽油を使うため、燃料代で比較すると、ガソリンHVとほぼ同等になる計算だ。車両価格も、同クラスのHVモデル並みとする見込みで、価格競争力もある。

国内市場で大きな支持を得たHVを持たないマツダにとって、ディーゼルは他社にない差別化ポイントだ。実際、SUV(スポーツ多目的車)「CX-5」、最上級セダン「アテンザ」では、ディーゼル車が人気。コンパクトカーのデミオでは、趣味性の強い上位車種ほど売れ筋にはならないだろうが、ブランドの独自性や、燃費競争で劣後していない、というアピール効果は大きいだろう。

国内シェア挽回へ、強力な武器となる新型デミオだが、懸念材料が1つある。純正カーナビの「マツダコネクト」のトラブルだ。マツダコネクトは、昨年に発売された新型アクセラから導入されている、新しい純正カーナビ。SNSなどネットワークとの接続機能などを特徴とした新世代システムとして、鳴り物入りでデビューしたが、地図データに誤りがあるなど肝心のナビゲーション機能の性能が低く、評判がいいとは言えない。ネットの掲示板での酷評はともかく、通常、批判が書き込まれることはあまりない公式サイトさえ、批判的なユーザーコメントが少なくない。

もちろん、マツダもすでに2度にわたって無償修理(サービスキャンペーン)を実施するなど、対応を進めている。ただ、まだ日本で一般的なユーザーがカーナビに期待するレベルには、達していない状況である。

■カーナビにうるさい日本のユーザー

デミオの場合、普段使いのコンパクトカーなだけに、カーナビの性能は重要。カーナビに多少不満があっても、クルマの走りやデザインに魅力を感じてもらえる上級車とは違う。デザインや走りより、経済性や使い勝手が相対的に重視されるカテゴリーなのだ。特に日本のユーザーは、世界でも最もカーナビにうるさい。

マツダによれば、新型デミオに搭載するマツダコネクトには不具合を改善したソフトウエアを搭載するだけでなく、マツダコネクト以外のカーナビも用意する方針だという。コスト低減を進めた新プラットフォームを全面的に採用したデミオは、その売れ行きがマツダの利益に与える影響は小さくない。発売前に万全の準備が求められる。

→マツダの詳細は「四季報オンライン」で