政治

日本はベトナムの正義の戦いを支持せよ「ベトナムは中国に屈しない」と断言するグエン博士

2014.07.28(月)  筆坂 秀世

 1940年代に、当時の国民党政権は歴史的に中国の支配が及んでいたとされる「領域」を9つの破線(一定間隔で隙間を作った線)で示し、南シナ海の大半の領有宣言をした。中国はこの「九段線」に基づいて南シナ海の領有権を主張している(台湾を取り囲む線を加えた十段線も公表している)。

 2014年6月には、 中国の国家地図がそれまでの横型から縦長のものに変更された。この地図には、東シナ海、尖閣諸島、南シナ海、スプラトリー諸島、パラセル諸島、スカボロー礁などが中国領土として明確に表記されている。その海洋面積は東シナ海、南シナ海の90%に及ぶものとなっている。華春瑩・中国外交部報道官は、「南シナ海が中国の領土だという立場は変わらない。今回の地図発行は、これを大衆に知らせるのが目的」と強調したという。

 このような中国の動きに対し、フィリピンやベトナムが激しく反対しただけではない。世界がこの拡張主義にあきれ果て、厳しく非難している。

 スペインのEFE通信は6月26日、「地図は中国政府がよく使う政治的武器の1つだ」と報じ、インドネシアのコンパス紙は6月27日付社説で、「フィリピンの強硬な反発は当然だろう。なぜなら、新たな地図では南シナ海が明らかに中国領土に含まれており、中国政府はこれまで主張してきた『九段線』に新たなラインを1つ加えているからだ」と批判した。

 フランスのル・モンド紙は、「中国は国際法を無視して、あらゆる手段や陰謀を利用し軍事力を行使して、小国を侵略し、自らの要求を強制した」と分析、イギリスのロイター通信は「この新たな一歩が、アジア地域諸国は平和を望んでいるという中国の構想であるとはとても信頼できない」と伝えた。

 米国防総省も、東シナ海や南シナ海で「力による現状変更」を進める中国に対し、年次報告書で「(中国が、米国の同盟国を含む周辺国との)摩擦を増加させている」などと明記し、その行動を厳しく批判してきた。

 この世界の反発は、中国にとって想定外であった。では、なぜ中国は見誤ったのか。

 グエン博士の分析によると理由は2つである。1つは、…
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