中間貯蔵施設 国有化の方針転換7月28日 18時13分
福島県内の除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設を巡り、石原環境大臣は28日、福島県の佐藤知事などと会談し、建設用地を買い取って全面的に国有化する方針を改め、希望に応じて、地権者に所有権を残したまま国が土地を利用する手法も取り入れるとする新たな方針を示し、建設の受け入れに改めて理解を求めました。
政府は、東京電力福島第一原子力発電所の周辺の福島県双葉町と大熊町に中間貯蔵施設を整備する計画で、28日、東京都内で石原環境大臣と根本復興大臣が、佐藤知事や2つの町の町長と会談し、地元からの意見を踏まえた新たな方針を示しました。
この中で、建設用地については、住民から、先祖から受け継いだ土地を手放したくないなどとする意見が出ていることを踏まえて、地権者から買い取って全面的に国有化する方針を改め、希望に応じて、地権者に所有権を残したまま国が土地を利用できるよう「地上権」を設定する手法も取り入れるとしています。
地上権を設定する期間は、中間貯蔵施設で保管を始めてから30年以内に福島県外で最終処分を完了するという政府の方針に合わせ、最長で30年とする方針です。
また、建設用地の補償額は、地元が建設の受け入れを判断したあとに地権者向けの説明会を開いて額のイメージを示すとしています。
一方、政府が生活再建や地域振興のための措置として検討している交付金の額については、今回、提示を見送り、地元が建設の受け入れを判断するまでに示すとしています。
政府は、このほか、中間貯蔵施設の監視に住民が参加することや、問題が生じた場合に土などの搬入を停止するなどの内容を念頭に、国と地元との間で協定を結ぶ考えを示していて、建設の受け入れに向けて協議を進めたいとしています。
環境相「引き続き努力」
石原環境大臣は「現時点でとりまとめられる最大限のものを示したが、地元からは交付金の額などが提示されなかったことについて十分でないという話があったので、引き続き国として努力をしていきたい」と述べ、今後、交付金の額などの提示に向けて政府内で調整を続けていく考えを示しました。
そのうえで、来年1月から中間貯蔵施設に土などの搬入を開始するという方針については、「スケジュールは大変厳しいが、政府一丸となって努力をしていきたい」と述べました。
知事「国全体が当事者意識を」
福島県の佐藤知事は「建設用地については、地上権という新たな選択肢ができたが、生活再建策や地域振興策など、そのほかの地元からの要望については回答が出されていない。
国全体が原発事故を忘れず、当事者意識をもって対応すべきだ」と述べ、より具体的な回答を示すよう求めました。
地元町長は一定の評価も
双葉町の伊澤史朗町長は「土地の利用に期限を定めることができる地上権の設定などの対応によって、中間貯蔵施設がそのまま最終処分場にならないことが担保されると評価している。一方、交付金などの具体的な数字が示されないままでは、住民に説明ができず、建設の受け入れを判断する材料にはなっていない」と述べました。
また、大熊町の渡辺利綱町長は「建設用地の買い取りだけでなく、地上権を設定できるという選択肢が増えたことは一歩前進したが、生活再建や町の復興計画など不透明な点が多く引き続き協議していきたい」と述べました。
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