カープのローテに定着し、着々と白星を積み重ねている。
プロの洗礼にも怯まない右腕に、弛まぬ成長をもたらすものとは。
あれだけ手放しの喜びようは、最近、プロ野球のグラウンドでめったにお目にかかれない。登板した試合で味方に点が入った時の大瀬良大地の表情だ。満面の笑みで声を張り上げ、グラブを叩き、得点を喜ぶ。投手はポーカーフェイスがいいという教えを忠実に守り、得点してもチャンスを逃しても無表情に「自分の投球」に集中しようとする若い投手が多い中で、大瀬良の反応はかなり目立つ。
「そうですかねえ。別になにか考えて派手に喜んでいるんじゃないんです。自然な反応ですね。投手はポーカーフェイスのほうがいいっていいますけど、ぼくはポーカーフェイスを意識しすぎるとかえって集中できないように思うんですよ」
ナチュラルに解放させるところはさせる。集中して口を一文字に結ぶのはマウンドの上。そんな使い分けをしているとすればなかなかのものといわねばならない。
プロ入り後に始めたモーション前の小さな「儀式」。
1991年6月17日、長崎県生まれ。長崎日大高3年生の時、甲子園に出場するも1回戦で花巻東高に敗れる。卒業後は九州共立大に進学し、4年間先発として活躍。'13年には日本代表に選出された。今年ドラフト1位で広島に入団。7月9日時点で14試合に登板し、6勝4敗。187cm、93kg。
得点シーンの歓喜とともに、もう一つ気になっていたのが投球動作。正確には、モーションに入る前の「儀式」だ。軽く膝を屈伸させる。小さなスクワット。あれはアマ時代からの癖なのか。
「いや、プロになってからですよ、はじめたのは。オープン戦が不調で体重移動がうまくいかない感じがあった。屈伸は、体重移動に気をつけなきゃだめだぞっていう自分への合図みたいなものなんです。ただ、頭で体重移動に気をつけてと思っているだけじゃ忘れちゃいますからね。技術的な意識づけですね」
癖でもリラックスさせるための脱力動作でもなかったのだ。おっとりした外見の天然風とは裏腹な細かい意識づけ。
想像していたキャラクターとは少し違っていたが、考えてみれば、開幕からローテーションを守り、シーズンの折り返しまでに6勝している大卒投手なのだから、これぐらいの細心さ、緻密さは当然かもしれない。
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